コメディ・ライト小説(新)
- Re: アメのち蒼色 ( No.1 )
- 日時: 2020/01/19 19:47
- 名前: 餅果 (ID: D.48ZWS.)
episode1 文化祭と慢心
____文化祭。
1年に1度、高校の中で盛大な祭りが開かれる。
辺りには揺れる旗、男子部員の掛け声、女子部員の黄色い声…それが一斉に重なって盛り上がりを紡ぐ。強いて言えば…出会いの場でもある。
「そう言えば部長、今年の科学部の出し物何か検討していますか?」
「…出し物かぁ。まぁ、なんとなく検討してるかな。それとなくだけど。」
「部長、なんとなくとそれとなくってほとんど同じ意味ですよ?」
『日向井高校』の2階、科学部の部室の中で副部長の『新木 沙穂』と部長の『桜田 美秋』の会話がこだましていた。
もう成熟した春。
桜は全て萎んで散り、若葉の匂いを奏でている。そして部活動後の片付け。下の校庭には、運動部員が散らばっていた。
「で、部長は何を考えたんですか?」
沙穂がビーカーを濯ぎながら、美秋の方向へ30°顔を向ける。
シンクから飛び散った水滴も『風情』と言うのか、変に光っていた。
「私は一応考えたんだけど…やっぱり去年とは違って『屋台』とかいいかなって。」
いつでも笑顔を絶やさない美秋が、沙穂に向かって柔んだ笑顔を。
放課後の夕焼けが差して少し素敵な笑顔にも…見える。
「あー、屋台ですか…。この前実験でやったカルメ焼きとか、アイスクリームとか…。」
「そうそう。あれ結構人気だったし…地域の人にも科学に触れてもらえるかなって思ってさ
ちょっと新境地っぽいけど…ね。」
照れ笑いなのか、いつもの笑顔なのか分からない微笑みをかます。
「さすが、部長。」そう思ったのか次第に沙穂にも笑顔が整って行った。
そして、5時。
最終下校時刻まで10分。夕暮れの空気が流れて、耳に触る。
「…じゃあそろそろ、最終下校時刻なので帰りますね、部長。」
「あ、そっか。じゃあ私はまだ残るけどまた明日。」
部室から沙穂が去る。
そして気配も見えなくなると、美秋はため息を机に置いた。
「…やっぱり、沙穂さんは信じてくれて良かった。…怪しまれると思ったけど。まぁ、食べ物に睡眠剤を入れて食べた生徒を実験に利用しよう…なんて思った事口が裂けても言えないわ
…まぁ、コストがかかり過ぎて実行できないからやるつもりは無いけど。」
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☆今回は『科学部』をテーマに描いてみました!最後がめっちゃブラックになってしまったんですが…ちなみに『カルメ焼き』は食べた事はないです(笑)