コメディ・ライト小説(新)

Re: ♧共同体魔術♧ ( No.3 )
日時: 2020/05/04 13:00
名前: 紅蓮 (ID: ET0e/DSO)

episode1 大炎祭の傍で


________……入学して間もない春。

春の匂いと、安心感に浸りながら私は教室で眠っていた。

ここはアージェンス魔法学苑。
数多くの学生を魔術師に変えてきた実績ある魔法学校なのだ。
周りには数多くの優秀な生徒。
常人では入れないほどの恐ろしさだ。

そこを目指してど田舎のスピカタウンから旅立った私。
少し心配だけれども…幼い頃夢見たモノをこんなので壊すわけにはいかない。

そしてようやくこの夢の頂点へ辿り着いた。
ジエルとはクラスが別れてしまったが、アマンダとは_____




「フラン…! フラン・キャンベリィ!目を覚ませ!」

耳の奥底まで、図太い声が行き通る。
目をこじ開けると…やっぱり。臙脂色掛かった髪の毛がぎこちなく揺れている。


「んん…アマンダ。そんなに声を荒げてどうしたさ…?」

「どうしたもこうしたもねぇ!ほら、これ貰っときな!」





 ____…痛っ。





 顔面に強く押されたのは…紙ペラ?
まだ起きていない脳を無理やり活性化させると、何か赤い文字が見える。

えっと…『薬草学テスト フラン・キャンベリー 56点 』。



「あ、薬草学の…でも別にしょうがないじゃん!私は薬草学ニ・ガ・テって知ってるでしょ?」

「ったく…なんでこう言ってるのか分かるか?フランが『56点』を叩き出したせいでアタシとジエルとフラン!とばっちりで宿題たんまり出されたんだよ!」

「ええとっ、本気でっ!?」

「ああ、そうだよ!これもとっととしまっておきな!」



すると、雪崩すれすれの教科書の山をチラッと見つめる。
薬草学…浮遊学…迷宮探索学…精霊学…魔術学…法制学…いろいろと詰まった教科書が。
なんだか憂鬱だが、苦い味を噛みしめるように渋々と頷いたのだった。