コメディ・ライト小説(新)

Re: 人魚姫は5日まで ( No.1 )
日時: 2020/02/11 17:03
名前: シナメ (ID: XLYzVf2W)

🐠⒉ 初恋甘く、その後苦く。
まあいろんな事情があって、人魚からヒトへ転生したようなものだ。
そして人魚は2年1組へと入っていく。
-梨音と一緒に。
新しく買った上靴は、少しぶかぶか。歩くたびにパタパタ音を立てる。25cm。
教室には半分くらいの生徒がすでに立ち歩きしていた。
どのクラスからも話し声が溢れている。
依田君は…まだみたい。

「おはようございます。」
いおんが相変わらず丁寧な言葉遣いで挨拶をする。タメ口でいいのにね。
おはよう。そう言おうとしたが、先越された。梨音に。
「おっはよ!」そしてようやく言う。
「あ、ああ、おはよういおん。」なあんか言いにくいなあ。先言われると。
あ、ごめん言ってなかった。いおんっていうのは同じ2年生の外池そといけ唯緒いおの事。

1年生の頃、私達3人は同じクラスだった。
いつも1人で喋らない、いおんがある日突然、
「おはよう…」と私達2人に言ってくれた。
驚いた。とても。でも嬉しかった。梨音に関しては、
「おはよう、唯緒!」なんて、話したこともないいおんに返事をした。
それも呼び捨てで。私は返事できなかった。けれど、笑顔でサインした。
-「ありがとう」って。
そこが始まりだった。
そこからお弁当を一緒に食べたりした。次第に『いおん』と呼ぶようになった。
『いおん』は梨音がつけたニックネームだ。
本人も気に入っている。
そうして私たちは仲良くなった。

話を続ける。
「…あ、梨音って違うよね、クラス。」思い出した途端に言ってみた。
「え?あそっかー!やだなぁ。でもしょうがね!じゃバイバーイ。」
梨音はスタスタと2つ奥の3組の教室に去った。
それを目で追っていると、いおんが肩をトントンと叩いた。
「ん?」
「あ、えっと…あ!羽田さんは1組なんですか?」
とっさに聞かれて一瞬迷った。だって、昨日まで(1年)2組だったからね。
「あ、うん。そうそう。1組、19番。」
「一緒ですね!」いおん、すごい嬉しそう。
そして、可愛い。女子から見ても可愛い。
そうして中に入ってカバンから荷物を取り出す。
少な!…まあ午前中だけだからね、今日の授業。

-はああ。準備し終わって席にガタン!と崩れ落ちるように座り、ボーーっとしていた。
「黒板。黒板に書いてあります。」
え?いおんの声?
意識が戻ったように焦って後ろを振り返る。
やっぱりいおん…と誰だろ。あの男子。
それと‥‥依田君だ!ラッキー、1組なんだ!

依田君は自分の席へ向かう。
…私の隣の隣の隣。10番か。
って何やってんだ私!これじゃあ変態みたいじゃん!
席は視力や身長で決まり、黒板に番号で書かれているのですぐに10番とわかった。
依田君はまじまじとあの謎の男子の方を見ている。そういえば一緒に来たよな。
そして隣同士の席にいおんと男子が話しながら座る。

-ガタン。いきなり依田君が立ち上がった。
そしてあの2人の方へ向かい、何かを一方的に喋っている。
ん?聞こえないけど…あの男子をからかっている?のかな。
あ。聞こえた!
「もしかして…好きなの〜?」
依田君はそう言っていた。…ん?ということは、
へ!?あの男子がいおんを!?
す、す…好きって事⁉︎
はあ!?
キモ!…くはない。キモくはない。
だってあの男子可愛い。愛らしい、なんだか憎めない顔をしている。
けどよ。ええ?もう『ええ?』しか言えない。ええ?
というか依田君はあの2人をからかっている…ということは

依田君はいおんが好き…ってこと?
Thank you for reeding!