コメディ・ライト小説(新)

Re: 人魚姫は5日まで ( No.3 )
日時: 2020/02/12 19:28
名前: シナメ (ID: XLYzVf2W)

🐠⒊ 人魚のハヤトチリ
依田君はいおんが好き…
でも無理もない。いおんは可愛いもん。
性格も、さらには成績だっていい。
悪いとこ、あるのかな…?

…!チャイムだ。 2年生はじめての。
ちょっと「おー」ってなった。
だめだ。語彙力が貧しい。
依田君も、みんなも、席に戻る。

でも先生は来ない。初日から遅刻かー。
大丈夫かな。そう考えていると、途端に前のドアが音を立てて開いた。
そして…先生だ。若い男の先生。黒と言うよりは紺に近い色をしたスーツを着ている。
そして、思ったよりイケメン。いわゆる塩顔イケメンってやつだ。
………喋らない。先生は名簿票らしきものを片手に抱えて黙って突っ立っている。
-ガタッ。
あ、あの男子。例の男子は大きめの音を立てて椅子を前にした。
いや、横向いてたのかよ。
「えっと、みなさん初めまして。今日から2年1組の主任を務める竹野たけの賢哉けんやです。」
話しはじめた。あいつ待ちだったんだ。
先生は半分初々しくて緊張が顔に出ている。
「先生は今年大学を卒業して、今年初めて教師を務めます。えっと、よろしくお願いしますね。」
わ。じゃあ若手中の若手だなぁ。年の差もあまりないのかな。
そして、話は終わらない。
「えー、まずみんなについて知りたい訳なんですので、1人ずつ自己紹介…できますか…ね?」
疑問形。なぜか。『なんですので』って。かーなり緊張してるなぁこれは。
って嫌すぎる。自己紹介。
年度初の難関ポイントだ。
番号順がいいな。そうしたら19番目で済むし。
「では出来る人から挙手でお願いします。」
あーもう。挙手か。こんなの誰も挙げないって。
……やっぱり。って、⁉︎ 挙げてる。あの男子が。え?
「あ、じゃあどうぞ。」
「、はいっ。」
あいつは椅子を閉まって立ち、浅く息を吸い、吐いた。
「えっと、横地芹斗、24番です。8月13日生まれです。2年生になり、新たに後輩ができたので、先輩方の背中を見ながらも1年生を引っ張っていけるよう頑張りたいです。よろしくお願いします 。」
-パチパチパチパチ。
教室に拍手が響く。なんか…ほぼ言われたよ。『1年生を引っ張る』とか『先輩についていく』みたいなこととか。ていうか、横地芹斗って言うのか。聞き覚えがある気がする。

あ!やばい。そろそろ挙げないという事奪われる…ってええ⁉︎
2番目が回ってきた途端、半分くらいが一斉に手を挙げた。
卑怯すぎる。あたりっこないよこんなの…。
でも挙げてみた。
竹野先生が「おお」とでも言っているような顔をして手を差し出す。
「じゃあ、あなた。」
指名したのは、別の男子。まあそうなるか。
そこから3番目争い、4番目争い……どんどん続いていった。
いおんは6番目を勝ち取った。依田君は7番目。
…。いおんと依田君が連続で来ると辛い。
例の事件(?)が思い出されるからね。

それより、当たらない。先生に私は見えているのかな。
次、18番争い。あと…11人か。
「では…どうぞ。」
はああ。別の知らない女子。これラストになるパターン?
ラストだけは絶対に避けたい。残り10人、次が19番目。
18番目の女子が紹介し終わった。私以外の9人も全員挙げている。
頼む…!
「んじゃあ……はい、どうぞ。」
え?わ、私だ!良かった〜。
そうして私は結局19番目で自己紹介をした。
「羽田陽帆といいます。19番です。誕生日は2月14日です。私は『最低』とも『最高』ともつかない、中間であるこの学年で自分の役目を果たせるよう努めます。よろしくお願いします。」
浅く礼をした。礼とかぶさるように拍手が送られた。
一安心。一気に私を縛りつけていた縄がほどけたようだ。
そうして無事全員の自己紹介が終わった。
……いおん。それに依田君。誤解だったらいいな。
1時間目は長いように感じたが、すぐに終わり、10分休憩が入る。
…の繰り返し。50分の授業、10分の休憩。
そうして午前中授業は終わった。
2人の関係が引っかかったまま私は教室を出た。
…梨音でも待っとこ。
これはハヤトチリだ。そう信じて人魚は3組の廊下で梨音を待っていた。