コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君に染まってしまえば―――伝えてしまえ。 ( No.2 )
- 日時: 2020/02/19 16:23
- 名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM (ID: FCVTIPcN)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
Valentine1 「白色の心模様。」
浮つく甘い雰囲気が漂う街。
あと三日に迫った“バレンタイン”女子にとっては一大イベントとなる日。
「チョコレートなんて見たって私には関係ないでしょ……。」
とか言って私はずっと逃げてる。
この心の高まりを無視しようとしてる。
冷静にならなきゃって、私だけが好きって言って興奮するのは嫌だって。
臆病な自分に呆れながら私はチョコレート売り場を後にした。
もし、渡したとしてもOKなんて言ってもらえるはずがない。
だって私と三澄君だなんて、どうやったって釣り合わない。
世界が違う。
「――――千耀にね、チョコレートを渡す計画立てたんだッ!!」
ばッと二つに折っていた紙を広げる。
広げたツインテールの女の子は私の親友の一人である高見沢 充希だ。
充希はクラスのムードメーカーだ。
明るくて元気いっぱいな彼女は恋にも真っ直ぐだ。
私はそんな彼女を羨ましく思っているし尊敬している。
「頑張ってね。」
そう応援すると「うん!!」と笑顔で笑う。
私はそうやって真っ直ぐに行動できない。
「……おはよ。」
「おっ、蒼真!!」
にかッと大きな声で彼の名前を呼ぶ声が聞こえて、私は声がした方を見る。
席に着くそこには「声大きい。」と呆れた顔で笑う三澄君が居た。
そんな三澄君を見つめていたら、彼と目が合い、即座に首を窓の方に向ける。
充希みたいに積極的に行動もしたいけど、私は三澄君を遠くから見つめることしか出来ない。
「あ!!寧々~、おはようっ!!」
さっきまで桐ヶ谷君をポッと顔を赤らめながら見つめていた充希は、外に向かって手を振る。
のろのろと気だるげに校門をくぐったのは寧々だった。
葉桐 寧々は私の親友の一人。
充希とはまた性格が違ってはっきりとした性格だけど照れ屋。
いつもサボり魔でこの時間くらいにならなければ登校はしてこない。
「―――は、葉桐さん!!」
この声の主は寧々と同じ映研部員の真宮君だ。
普段は目立たないけど、映画の賞をもらって校内に彼の名を知らない人はいないほどの有名人。
本人は恥ずかしがって有名人だとか認めないけどね。
寧々はそんな彼と仲が良い。いつも無表情な寧々も彼と一緒に居ると笑っている。
彼に苗字を呼ばれ、フイっと顔を背ける。
もしかして寧々……照れてる?
そう思いながら皆、積極的に友達になったり、話しかけたりしているのにも私だけ恐がって行動しないで……。
と思い、そんな自分が嫌になった。
「……か、香坂。この問題、解けるか?」
先生に名前を呼ばれ、ハッと顔を上げる。
「えっ――――あ、はい。」
黒板の方へ向かって書かれた問題をスラスラ解いてみると、
「流石だなぁ、香坂は!!」
皆が拍手をする。
ペコっとお辞儀をすると、顔を上げた瞬間、三澄君と目が合ったような気がした。
本当は、三澄君と一対一で話してみたり、笑い合って過ごしてみたりしたい―――。
そんな淡い時間をいつも想像をするけれどあり得ないと現実に戻る。
私は、そのたびに行ったり来たりをしている自分に嫌気が差す。