コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君に染まってしまえば―――伝えてしまえ。 ( No.8 )
- 日時: 2020/02/22 15:23
- 名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM (ID: FCVTIPcN)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
Valentine7 「悩み。」
ピコピコ……。
暗がりの部屋の中でゲーム機の音が響く。
「―――……。」
私のアバターが相手のトドメをさそうとするとゲーム機が真っ暗になる。
もう、何なのよ。
こっちが勝ってると通信を切って……これじゃあ、ランクが上がらないじゃん。
イライラしながら、近くにある金平糖を口に入れる。
ボリ、ボリボリッ。
あぁ……この甘さが脳に沁みわたるんだよね。
ほっぺたが落ちそうになるような甘さに溺れて居たらピロンッと黒と白のスマホが鳴る。
スマホを見ていると、親友である充希からのメッセージとあと…………。
「!?」
メッセージをくれたのは真宮だった。
LINEを開いてみると綺麗な朝日と『おはようございます。』といったメッセージが。
充希からは、
『チョコどうするの、渡すの?話したいこといっぱいだから、学校に早う来いっ!!』
最後にはアングリーマークが付いていた。
「……ぷっ。」
私はそのマークから充希の怒った顔が想像でき一人で噴き出してしまった。
そういえば、もう七時。
学校の支度をしなきゃな、、、首を長くして起こっている人もいるし。
「よし。」
ヘッドホンと眼鏡を外し、カーテンを開ける。
物凄く、綺麗な朝日だった。
腕を伸ばし、私は制服を着始めた。
支度が終わり、家を出て通学路を歩くと街は甘い雰囲気に包まれていた。
むさくるしいほど、甘ったるいなあ。
どの店を見てもバレンタインに関してだった。
「チョコか……。」
立ち去ろうとしても、気になって見てしまう。
「―――……。」
思わずチョコのパンフレットを手に取ろうとした瞬間、スマホが鳴る。
『あっ、寧々!!生きてる??もう門、閉められちゃうよ?!』
やばッ!!
もう時計は7:30を指していた。
私は学校に向かって走り出す。
「間に合っては……ないか。」
門はガッチリと閉められていた。
まあ……飛び越えればいいか。
風紀委員にまたマークされる、、、めんどくさいなあ。
「寧々~!!」
おはよう、と充希とみわに抱きしめられる。
「……おはよう葉桐さん。大丈夫だった?」
優しい声が私を呼ぶ。
振り向くとそこに居たのは、カメラを持った黒縁眼鏡を掛けている男子だった。
「えと――――……はよ。」
もっと可愛く挨拶をしたいのに言葉が出てこない。
チラッと真宮を見ると優しく微笑んで今日も頑張りましょうね、と言って席に戻ってしまう。
真宮は他の男子よりも優しい。
私の事をよく解ってくれるし、解ろうとしてくれる。
それに、趣味も同じで話が面白い。
撮るものを綺麗に撮りたいだとか、生き生きとしてありのままの姿を残せたらいい、だとか自分の譲れないポリシーを持っているから。
そこがかっこいいと思う。
一緒に居ると落ち着くし……こういうのが“好き”って事なのかは判らないけど、多分私の中で真宮は大切な人なんだと思う。