コメディ・ライト小説(新)
- Re: ♢訳ありな蒼い星 ( No.6 )
- 日時: 2020/03/14 12:09
- 名前: 霞 (ID: FpNTyiBw)
episode5 似た者同士
「新入生テスト。やっと終わった…。」
学校の屋上で、安心した笑みを広げる。
風陵は、やはり校則が緩い。
屋上は土日以外開放しており、コンクリートに居座って昼食を食べる生徒は数知れず。
風陵の一種のデートスポットとしても知られている。
…そこまでカップルは居ないが。
「サンドイッチと、麦茶…。なんか物足りないけど。」
袋から取り出したのは、3個入りのフルーツサンドイッチと水筒に入れられた麦茶。
華が無いが、昼食としては最適な量だ。
______…あそこ。私の他にもう1人いたんだ。
目線を横にズラすと…不良。
しかも金髪だし、髪に隠れてピアスもさりげなく付けている。
______…あっ。
目が合うと、乾いた春風が流れ込む。
罰の悪そうな顔を彼はすると、ようやく口を開いた。
「なんだよ、お前。」
「えっ、あっ、昼食とか…食べないの?」
負けるもんか、こんな不良に。
負けじと強気な姿勢で話を進めると、彼はまたこう言った。
「無い。」
「えっ、無いの?」
「…つーか。何が悪いんだよ、無くて。」
そう言うと、しかめた顔でネクタイを翻した。
このままじゃ、あんまりにも情けないので私は透明な袋からサンドイッチを2個取り出し、その余った1つを彼の膝に軽く乗せた。
「何だよコレ。」
「サンドイッチ。食べなよ、お腹空いてるだろうし。」
「…。」
彼は無言でサンドイッチを口に投げ入れると、口を拭った。
「コレ、フルーツサンドイッチかよ。卵の方が食べてえのに。」
「えっ、でも、これも美味しいじゃん!フルーツだよ?」
______…不良のクセに卵なんか食べるんだ〜。
それから何分か後、あの不良はバッグを背負って何処かに向かって行った。
その横姿…いや、バッグの横にあるものを発見した。
『若井 翔』
「っ。」
______…あの子って、あの騒がれてた問題児なんだ…。
予鈴が鳴るまで春風を感じながら、私は思いにふけていた。
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そう言えば今日ホワイトデーですねっ!