コメディ・ライト小説(新)

Re: ♢訳ありな蒼い星 ( No.12 )
日時: 2020/03/21 13:15
名前: 霞 (ID: MHTXF2/b)

episode10 見る力

「冰岸様、貴女は何か知っていますよね。お答え下さい。」






______冰岸様が何を隠そうと、私は知っている。








「…バレちゃったか。じゃあ“リサ”にだけ特別に教えてあげよ。」

冰岸様は同性の目で見ても、美しい。
水に打たれたような華奢な手。赤掛かった毛並み。___これが星の財と言うものだ。

「アレだよ______。」

それから冰岸様は、今までの事をおもむろに話し始めた。
黒い影が落ちる地面を蹴って歩きながら。
事件の序章、“彼氏”の死、風陵の仮面。今までの事をちょいと補足したところだ。
冰岸様は何も溢すこともなく、終始堂々と口を開いていた。

「…で。こっからは知らないと思う。」

「知らないと…。度胸試しのようなものと。」

ジリジリとした緊張感が漂う。
制服では蒸し暑いぐらい。
今は梅雨入りの季節______6月_______でもあり、今すぐに雨乞いがしたくなる。

「黒幕は…………だ。それに内通している学生が居てね。
…そろそろ動き出すかもしれない。」

「それじゃあ___、下手に動いてしまっては犠牲者が増えると?」















…意味が分からない。
何を知っているのか、冰岸様は女々しくない表情を浮かばせた。