コメディ・ライト小説(新)
- Re: ♢訳ありな蒼い星 ( No.20 )
- 日時: 2020/03/25 20:30
- 名前: 霞 (ID: 9i/i21IK)
episode13 不安感を抱きしめて
「友寄、シュート!」
威勢のいい声と共に、軽快なシュート音が体育館に響く。すると、試合の終了を告げるホイッスルが深くこだました。
試合結果は15ー13。
簡潔に言うと、こっちの勝ちである。
「先輩お疲れ様ですぅ〜。」
「写真取らせてもらってもいいですか〜?」
試合が終わると、一気にチアガール達が桐ヶ谷先輩の元へハチのように集まった。
すると、ワチャワチャと押し寄せる女子達を桐ヶ谷先輩は笑顔で対応しているのが、ふと横目に入った。
…まぁ、先輩は女子だけど。
6月下旬。
ついに部活動が始まり、“新人”と言う名の新入生達は、着慣れない体育着や制服を身に纏い熱心に新しい環境で動いていた。そんなハードなものなのかと問いたくなるぐらい、生徒達は“努力の糧”と化していた。
「お疲れ、ユズちゃん。シュート最高だった。」
「あぁ、沙羅か。…しっかし、桐ヶ谷先輩はモテるよねぇ。女子なのに。」
バスケ部部員、棚尋 沙羅。
中学時代からの付き合いである。
バスケシューズをきつく締めると、また近くに駆け寄り2人で並ぶ。
水筒の蓋を1回転させると、中から冷たい水が溢れ出てくるのが分かる。透明な雫が、頬に伝うと体育着の袖で、軽く拭った。
「と言うか、『涼』っていう名前がいけないんじゃないの?涼って読むのにねぇ。」
沙羅の一説によると…桐ヶ谷先輩の事を、男子と勘違いする新入生がよくいるとか。
しかし、先輩の元へ駆けつけて来た女子…いや乙女と言ったところか。彼女らは必ず頬を赤らめて帰っていく。…実は先輩。持ち前の明るさで、一気に彼女達を虜にしてしまう。
_________と言うメカニズムで、先輩のファンになっていくのだ。
「さすがだねぇ、やっぱ先輩凄すぎ。」
腕を組んで、眺めるような笑みを浮かべた。
あの人気者先輩。
ただ…あの人には、裏がある。