PR
コメディ・ライト小説(新)
- Re: ♢訳ありな蒼い星 ( No.21 )
- 日時: 2020/03/28 13:00
- 名前: 霞 (ID: XnbZDj7O)
episode14 片隅
「何か…手がかりは無いでしょうか。」
今年度に入って全く手がかりが見つからない。
簡潔に言うと、いわゆる『手詰まり』という奴だ。
誰もいない殺風景な部屋には、空気にもかき消されそうな重い溜息が響き渡り、また消えていく…つまり今は意味のない繰り返しなのだ。
ふと、目線を下に向けると趣のある埃がかったページ。
これもこれで、アンティーク調でいいと思うが今この状況ではただの古ぼけた本にしか見えない。…まあ、そんな事はどうでもいい。
そんな事より___どんなに些細なことでも…と、思いを空中に浮かばせた方がマシだ。
しかし、焦りに焦った神経でページをめくっても、結局何も見つからない。その喪失感に、1人で悩まされていた。
______書斎、あまり来ないから分かりません…。
無造作に戸棚をあさっていても、奇跡というものが起こるわけではない。
だからと言って、躊躇しがちに本に触れても何も変わらないのである。
しかし、この発言を裏付けるように1つの冊子が足元へ落下していった…。
「…日記。冰岸様の…。」
“潮妙 冰岸”。彼女の字で、そう書かれてあった。
軽く拾い上げると、罪悪感も少々あったが今ある好奇心に負けすぐさまページをめくった。
…でも。もしかしたら、これは『パンドラの箱』かもしれない…
PR