コメディ・ライト小説(新)

不良部長と私の空想科学部 ( No.0 )
日時: 2020/03/30 16:47
名前: 蒼星 (ID: 0llm6aBT)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12738

「そこまでいうならさ...お前が俺んとこの部活に入ればいいじゃないか。その方が俺を監視しやすいだろうさ、風紀委員さん」

「解りました。今回は貴方の話に乗りましょう。で...この部活は何をする部活ですか?」

「空想科学...『存在しないとされてる』モノ。つまり魔法。魔法を研究する部活だ!」


...................................

現代ファンタジー×学園ラブコメ

閲覧、ありがとうございます。
この板では初めましてですかね?普段はなりきり板にいる蒼星と言います。

初小説、という事で色々至らない点があるかと思いますが宜しくおねがいします。大筋は決まってるのですが、行き当たりばったりに近いかと。更新も不定期になるだろうなぁ...

略称は『空想科学』にしようかと考えています。いい案があればコメントしてくれると嬉しいです!

目次 >>1
キャラクター説明&用語集 >>2

3/30 作家プロフィール作りました。URLからどうぞ

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.1 )
日時: 2020/04/01 15:02
名前: 蒼星 (ID: J1W6A8bP)

#目次

始めから最新まで
>>0-

キャラクター説明&用語集
>>2

1章 始まりと進級の空想科学
>>3-8 (#1-#6)

幕間 アタシと雪花の報告会議1
>>10

2章 部長と新入部員の空想科学
>>11- (#7-)

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.2 )
日時: 2020/03/30 16:10
名前: 蒼星 (ID: 0llm6aBT)

#キャラクター説明

黒木くろき雪花せっか
今作の主人公で中学2年生の少女。
黒髪のストレートロングで顔立ちは大人っぽい。身長は159cm。胸は悲しい事につるぺたである。
生真面目な風紀委員。何を言っても校則を守らない響の事を知り、彼を監視(補正)する事に...


青井あおいひびき
空想科学部部長で中学3年生の青年。
全体的にボサついた紺色の髪は長く、男でありながらポニーテール。顔や身体は中性的。身長175cm。
一見ガサツで人の言う事を聞かないタイプだが...


赤嶺あかみね美沙みさ
空想科学部顧問で響の従姉の新人(今年で2年目)女性教師。
茶髪のサイドテールで、モデルのようにスラッとした体つきのかなり美人な25歳。身長は172cm。
しかし性格は姉御肌タイプ。担当教科は社会(歴史公民より地理が得意らしい)。




#用語集

・空想科学部
魔法を研究する部活。周りからは『部活もどき』と称される。
本編の前の年までは部員が廃部にならないギリギリの人数は居たが、その人達は全員卒業し、今年は響一人になり、今年いっぱいで廃部する予定。その為部費は出ないが、そもそも大規模にやらなければお金はかからないし大会に出たりしないので平気

・魔法
一般的には空想の産物とされているが、実在する。ここでの魔法は、「空気中に存在する『魔素』を体内で改変し発火の為の有機物や水等を起こす」という一連の動作のこと。魔法の威力等は『イメージの強さ』と『魔素を操作する精密さ』が重要になる。響がこの名前をつけた

・魔素
空気中に含まれる成分。普段は安定しているが、人の手が加わる事で不安定になり、他の物質に限りなく近い構造となる。その為、魔法で発生させた物質は厳密には本来の物質とは異なるが、発生させた水などを摂取しても人体には害はない。こちらも響命名
*>>6の下の方に捕捉あり

・桜木中学
雪花達が通う中学。部活動と生徒会(委員会)は別扱い。響は生徒会無所属。美沙も担当してる委員会はない。制服だが、紺のブレザーとスカート(orズボン)にリボン(orネクタイ)。リボンは学年によって異なり、1年は青、2年は緑、3年は赤である

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.3 )
日時: 2020/03/29 19:39
名前: 蒼星 (ID: UruhQZnK)

1章『始まりと進級の空想科学』

#1


雨降る校庭の隅にて。教師と思われる男性と、1人の生徒の姿が。

「おい青井!またサボりやがったな!今すぐ教室に戻れ!」

「誰があんたなんかの言う事聞くかよ。俺はお前ら教師に従う気は無い」

教師は生徒にきつい言葉で指示するも、青井と呼ばれた生徒は威厳な顔をしては、当然のようにこの場から立ち去ろうとする。

「こら!まだ話の途中だ!」

「ちっ、うるさいな。...『黒霧』」

大声を出す教師に対し、生徒は舌打ちをしては、何かを呟く。すると、驚く事に瞬く間に人1人の視界を奪うには十分の煙が立ち込める。

煙が雨により掻き消された時には、既に生徒の姿はなかった。



.....................................


4月某日のこと。

私、黒木雪花は2年生へと進級し、前年入ってた風紀委員会を継続する事になった。

そして、今日は委員会会議の日。

「なんかね、ヤバい問題児がいるのよ」

委員長が、ため息混じりで会議に参加している委員達に告げる。

「書記。説明を」

「はい。その問題児の名前は『青井響』。3年生ですね。
彼は前々から問題視はされてましたが、昨年までは授業はしっかり取り組んでいましたし、少し抜けてる程度だったのです。が、今になって授業サボり等を繰り返すように。先生方が注意しても聞く耳を持ちません。
そして、それ以上に厄介なのが...」

書記の人がここまで言うと、委員全員にプリントを配っる。私は配られたプリントを見て、疑問に感じた事をそのまま呟いた。

「雨の日に...煙?なのに火は無いですし...」

「はい。なんとも、煙で相手の視界を奪って逃亡するようです。先生方の話を聞いても火はおろか、煙玉らしき物もなかったとの事」

「はぁー。そういう事」

書記の人が私の疑問に淡々と答えると、委員長が大きなため息を吐く。

「もうね、どう対処すればいいか...誰かが付きっきりで監視でもしてくれればいいけどねー」

「なら...私が彼の対応をします。付きっきりは無理ですけど...」

呆れた委員長の冗談半分の提案に、私は乗った。

「...貴方、本気?」

「はい」

「解った。なら暫く貴方に任せるわ。でも、手に負えないならすぐに頼って。今回ばかりは力不足とか関係無いから。少しでも聞く耳を持つようになるだけでも大健闘って考えてる。それと、監視し過ぎて勉学が疎かにならないように。それと、他の人達もこの子の事、サポートしてあげて。

という訳で解散!」

「「「「「はい!」」」」」

委員長の掛け声で委員達は返事をしてこの場を立ち去る。私も早速彼に会って見ようと考えた。

......この時は、知るよしも無かった。私が問題児の彼の部活に誘われて、非日常に足を踏み入れる事になるとは

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.4 )
日時: 2020/03/29 21:38
名前: 蒼星 (ID: y9FxUFsG)

#2

会議が合った日の放課後の事。

「はぁ...。会議ではああ言ったものの...そもそもどこにいるんですかね...?」

校庭裏の、道と呼べるか怪しい位に草が生い茂った道を歩きながら、ボソボソと呟いてみる。
向こうから来ないかな、と考えながら歩いていると、何か...いや、誰かにぶつかった。そして私は派手に転けた。

「あっ、す、すいません!お怪我はありませんか?」

咄嗟に立ち上がってぶつかった相手に声をかける。相手は男子生徒。制服のネクタイを見るに3年生だろうか。

「いや、俺はへーきへーき。てかお前の方こそ大丈夫かよ。そんな盛大に転んで。
てか、少し独り言聞こえたんだが、誰か探してるか?」

男子生徒は服についた汚れを払いつつ此方に尋ねる。

「あ、はい。3年の青井響、という人を探してまして...ご存知ないでしょうか?」

「あ、それ俺だわ」

「......え?ええぇぇ!?」

男子生徒の衝撃発言を理解するまで、数秒掛かり、その後驚きで叫んでしまう。それもそうだ。委員長が呆れるレベルの問題児が目の前に居るのだから。

「その...なんかスマン。
で。どうして俺なんか探してたんだ?てかお前誰だよ」

男子生徒、もとい青井響は明らかに怪しんでいる。ここは素直に白状するべきか...いや、これから頻繁に会うのだから白状してしまおうか。

「私は2年、風紀委員の黒木雪花です。青井響!貴方の問題行動を治しにきました!
そして、単刀直入に聴きます。何故授業をサボったり先生方に反抗したりするのですか!?」

「反抗して悪いか?向こうがルールやらで縛りつけてくるんだろ?それに...生徒の事を信じない奴の言う事を、なんで『はいそうですか』って素直に聞かねぇといけないんだよ」

私の問いに対する答えは、淡々とした、事前に用意してたような台詞。その台詞の中には、少し気になる言葉があった。

「信じない...ってどういう事ですか?」

「そのまんまだ。彼奴らは俺の事なんぞ戯れ言と笑いながす。教師どもだけじゃない。俺の周りは殆どそのどちらかだよ」

彼はまるで笑い事みたいに、それでいてとても悲しそうに述べる。

「その話...詳しく聞かせてください。微力ですが...少しなら力になれるかもしれません。それで貴方が苦しんでるのであれば、私は助けてあげてい」

私は彼の目を真っ直ぐ見て、自身の真意を伝える。彼の話ぶりを聞くに昔から。これが本当なら人間不信になっても仕方がない。

「まさか、まともに聞こうとしてくれる奴が姐さん以外にいるとはな。解った。なら場所を変えよう。俺は先に行くから姐さん...社会科の赤嶺って教師を連れて第2科学室に来い」

「は、はい!」


【ここまで暗いなぁ、話重いなぁ、板間違えたんじゃない?って思う方が居るかと思いますが大丈夫です。1章が暗いだけだ...たぶん。まともに部活動やるようになれば明るくなるんですけど、それまでまだ数話ありますね。はい】

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.5 )
日時: 2020/03/30 09:24
名前: 蒼星 (ID: 0llm6aBT)

#3


「社会科の赤嶺先生はいらっしゃいますかー?」

数分後。私は彼に言われた赤嶺先生を探しに職員室の入り口にやってきた。

「はーい!居るよー!
ってありゃ?ウチ、2年生は担当してないけど...えっと、君は?」

すぐさま先生は入り口までやってくるなり、私の制服のリボンを見ては首を傾げる。問題児が名指しする先生だからもっと厳つい感じをイメージしていたのだが、そのイメージとは違いモデルみたいにかなり美人な茶髪の若い女性だった。

「私は黒木雪花といいます。青井響から、貴方を連れて第2科学室に来て欲しいと言われまして」

「へぇ、あの子がねぇ...解った。丁度仕事はきりがいいとこまでやったし、早速行こうか!」

「は、はい!」

どうやら先生は彼の事を知ってる様子。先生は笑顔を見せると、早速職員室を出て歩き始め、私もその後について行く。



「えっと、雪花さん、で合ってるね?変な事聞くけど、どんな経緯で彼にウチを呼んでくるように言われたの?」

廊下を歩いてる途中、赤嶺先生は私に不思議そうに尋ねる。私は今日の委員会会議からの出来事をそのまま伝えた。

「成る程ねぇ。雪花さんは風紀委員だったと」

「あれ?驚かないんですか?」

「いや、驚いてるよ。でも君でよかったとも思うな。だって他の先生じゃさ、『信じてくれないから』って言っても『信じてもらえないのはお前の行いが悪いから』とかって聞く耳持って貰えないそうだからね。それに反して君は『助けてあげたい』...この差はかなり大事だと思う」

先生は少し安心したように呟く。

「そうだったんですね...。聞く耳を持たないのは他の先生方も同じだったと。それより...赤嶺先生はどうしてそんなに彼の事、詳しいのですか?」

「何の事かなー?」

私が先生を怪しむと、先生は明らか様に動揺する。目が泳いでるのがすぐ解る。こちらが見つめると目を逸らした。

「真面目に答えてください」

「は、はいっ!...雪花さん目が笑ってない、怖い...」

先生の行動に少し苛ついたので笑顔で注意する。それにしても怖いとは随分失礼な。

「で!どうなんですか?」

「解った。答えるから急かさないで」

私が問いただそうとすると、先生は疲れた様子でそう返した。そして、数秒後漸く先生が話始める。

「えっとね。ウチと響は従姉弟いとこなんだ。年は結構離れてるけどね。だから彼の事も結構詳しいよ。何を信じてもらえないかも知ってる。

ねぇ、雪花さん。多分信じれないだろうけど、あの子の事信じてあげてくれる?根はいい子だし嘘を吐くような子じゃなのはウチが保証する」

「先生がそこまでいうなら...どんな内容でも信じてみようと思います」

「ありがと」

何があっても彼を信じる、そうした決意を先生に伝える。すると先生はとても安心した様に微笑んだ。
しかし、この私の決心は数秒で崩れる事になる。

「先に聞いておきますけど...一体何を信じて貰えないのでしょうか...?」

「魔法が存在するって事」

「は?」

この時、私は酷く二人に失望した。委員長がこれを聞いたのなら『貴方達脳内お花畑?』とでもいっていたのだろう。なんせ魔法なんて空想の産物。空想科学でしかないのだから。

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.6 )
日時: 2020/03/30 12:02
名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 0llm6aBT)

【うぎゃあ!トリップつけ忘れてた!
と、いう訳で今回からこのトリップでいくので宜しくおねがいします】


#4


「はぁ。...先生、正気ですか?」

ため息を吐いて、立ち止まっては呆れながら先生を見る。しかし、先生の瞳には理性はあるし、とても嘘を吐いてる雰囲気ではない。

「正気だよ。
ここには人通りもないし...魔法を見せてあげるから、ここで見た事は他言無用にしてね」

先生は私と同様に立ち止まり、とても自信に満ちた目で私に伝える。先に他言無用と言う当たりその自信が伺える。

「じゃあいくよ...『ウォーター』!」

先生は右手を前に翳し叫ぶと、その手から水が流れ出し、廊下を水溜まりへと変える。少量なら袖に小さいボトルでもあるのかと疑えるが、数Lはある大量の水。疑いようがない。
私はそんな非現実的な光景に驚きで唖然とする。

「もういっちょ!『フリーズ』!」

今度は先程の水が広範囲に流れる前に、先生が居る位置から氷っていく。この時は辺り一体の温度も下がってるように感じた。文字通り背筋が凍りそうなくらいには。

「やっぱ直接物質に改変するより、熱エネルギー産み出す方が難しいなぁ...」

目の前の光景に頭が追い付けなくて混乱しだした私を他所に、先生は訳のわからない事を呟いている。

「まぁでも...これで信じてくれたかな?雪花さん。...おーい、雪花さーん?雪花ってばぁ!」

「は、はい!」

先生が私の体を揺らした事により、ようやく混乱が解け、はっとして返事をする。

「信じてくれた?」

「こんなの見て信じるしかないじゃないですか。他の人にも見せれば信じてもらえるんじゃないですか?」

苦笑いをしては先生の問いに答え、逆に問い返してみる。すると先生は険しい顔になり...

「そうしたいのはやまやまだけど...沢山の人信じてもらえても、それはそれで厄介なの。それに...心無い人に悪用される可能性もあるし、教えた子自身は良くても、その子が更に教えて悪人に伝わる可能性もある。それに実際見せてもマジックやら映像やらって言って信じてくれない頭の硬い人間が多いのよー!腹立つ!なんで人間は未知の事や都合が悪いことを信じようとしないのよ!」

「はぁ...」

最後の方はただの愚痴にも感じるのだが、気のせいだろうか?

「まぁそんなこんなあってね。信じて貰えないしで教えるのは控えるようにしたの。君に教えたのは...何となくだけど君なら大丈夫かなって思って。ウチの勘はよく当たるんだ」

自信満々に大丈夫だと言ってもらえる事は嬉しいが、私側の気持ちは無視なのが気になる。

「さ、この話は終わり!そろそろ科学室に行こっか。響に怒られちゃう」

「は、はい!」

先生はパンパンと手を叩いては氷を一瞬にして消してみせては、再び歩き始める。私はその後を早歩きで追うのだった。



【魔素について捕捉。改変でエネルギー自体を産み出して温度を変える事ができたり、改変した物質を再び改変して元の魔素に戻す事も可能。エネルギーを産み出すのはかなり難しく、再び改変するのはかなり簡単である】

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.7 )
日時: 2020/03/30 16:32
名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 0llm6aBT)

#5


「響ー!来たよー!」

先生が勢い良く第2科学室の扉を開ける。

「やっときたか。取り敢えず二人とも座れ」

科学室には椅子に座っている不満気な青井響が。私と先生は彼に従い、予め用意されていた椅子に座る。

「こほん。で、風紀委員さんよ。さっきの話の続きなんだが......実はだな。魔法が...」

「それ雪花さんに話しちゃった★」

「は?」

彼が話そうとしていた事は、私が先生に聞いた事と同じようで。『てへぺろ』とウィンクする先生に対し、青井響はプルプルと震えては机を『バンっ』と勢い良く叩いて立ち上がると先生に近づき...

「姐さん!お前なぁ!俺の台詞もってくんじゃねぇ!『発火』ァ!」

「ええー!だってこういう事だって聞いてないもん!てか魔法使わないでよ!『スチル』!」

苛ついた青井響が先生に向けて炎を発生させては、先生は慌てながら金属の板を作って炎を防ぐ。板は浮いてるから本人に熱は伝わらないようだ。私はそんな二人を止める為に、近くの棚から資料本を出してきては...二人の頭を本で叩いた。

「へぶしっ」「イタっ!」

「ふ、二人とも落ち着いてください!」

「わ、悪い。ついかっとなっちまった...」

「ごめんなさい...」

二人とも頭を手で押さえながら素直に謝る。先程まであった炎と金属板は既に消えていた。

「次からは気をつけてくださいね。今は私達三人しかいなかったものの...」

はぁ、とため息をついては二人に注意する。2年生に注意される教師と3年生ってなんだ......って、本題忘れるとこだった!

「...青井響。本題に戻ります。私が信じたら、サボりを直す気はありますか?」

「無理」

「即答!?」

本題...つまり彼の問題を無くす事。しかし私の頼みは即断られる。

「な、なんでですか!?」

「そうよ!サボり初めてまだ数週間だからウチも直してくれると思ったのに!」

「だって...一回楽しちゃうと中々直せねぇもんだよ?お前もこっち側来る?」

「来ません!」

何ともダメ人間らしい回答をした彼は、私も同じ方向に来させようと勧誘する始末。

「どうしてもですか?」

「どうしてもだ」

「はぁ。解りました。ならば貴方が直すまで私は貴方を監視します!」

どうしても、と言う彼に対し、私は彼を指差してそう宣言するのであった。

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.8 )
日時: 2020/03/30 20:08
名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 0llm6aBT)

#6

「えぇ...」

私の宣言を聞いた彼は、明らかに嫌なようだ。

「監視されて直る気はしねぇし、寧ろ悪化しねぇか?...姐さんも何か言ってくれよ」

「別にいいんじゃない?悪化は単純に響の気持ち次第でしょ?

あ、雪花さん。響はこれでも部活の部長だから結構この科学室にいるから、ここにくれば監視しやすいだろうし。ウチは顧問でよくここに来るから少しは協力できるし」

「姐さんそりゃぁないよ」

なんと先生は協力的だった。先程も『直してくれると思ってたのに!』と言っていたし、サボりは直して欲しいよう。それにしても彼が部長...今の彼を見てると意外としか言えない。

「ならそうさせていただきます。
という事なので覚悟してくださいね!絶対貴方の問題行動を補正してみせます!」

微妙に言葉は違うが再度宣言してみせた。

「はぁ...解ったよ。

そこまでいうならさ...お前が俺んとこの部活に入ればいいじゃないか。その方が俺を監視しやすいだろうさ、風紀委員さん」

挑発するように問いかける青井響。私は呆れたように、けれど内心チャンスだと思い彼の提案に乗ることにする。

「解りました。今回は貴方の話に乗りましょう。で...その部活は何をする部活ですか?」

「空想科学...『存在しないとされてる』モノ。つまり魔法。魔法を研究する部活だ!」

彼はドヤ顔でそう叫ぶ。嗚呼、有ったなそんな部活。丁度私は部活には所属してないからいいものの。

「なら決まり..って言いたいとこだけど。雪花さん、この部活他に人いないから今年で廃部だけどいいの?」

「構いませんよ。あくまで青井響の監視の為ですから」

今の先生の言葉に少し驚くも、私が部活に入る目的はあくまで監視だ。寧ろ人が少ない方が都合がいい。

「あのな...部活に入るんならその呼び捨てやめてくれよ。俺の方が年上なんだし。部長だし」

不満をしてここにきて年上と主張する青井響。魔法を信じてあげたのに態度を変えない彼を先輩と呼ぶのは不本意だが仕方ない。何か違う気もするが郷に入ったら郷に従えともいうし。

「解りましたよ、響先輩。...これでいいですよね」

「うわ、露骨に嫌そうにすんなよ」

「はいはい。ともかく此れから宜しくお願いしますね、先輩」

こうして、私は彼...響先輩が部活の『空想科学部』に入部したのであった。
これから私達がどうなるのかは誰も知らない。
でも不思議と、私は楽しみだった。問題児、という事さえ除けば、響先輩はそこまで悪い人では無いようだし、なにより存在する『魔法』を自分で研究できるから。

そして明日から______不良部長と私の空想科学部部活動が始まる。


*第1章 『始まりと進級の空想科学』終

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.9 )
日時: 2020/03/30 20:38
名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 0llm6aBT)

【1章完!いやぁ疲れましたー。今日で4話も書いたので疲れましたぁ。1話1000文字前後のペースですね。はい。時間換算にすると1話1時間強です。疲れる。

でも1章は序章的な感じなので、この『空想科学』はこっからが本番となります!これから暫くの間宜しくお願いします!目標は完結+番外編も書く!】

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.10 )
日時: 2020/03/31 11:49
名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: .SLYx3CV)

【幕間は視点が雪花以外になるのが多いです】

#幕間 アタシと雪花の報告会議1


風紀委員会議の翌日の昼休み。会議室には3年生にして副委員長ことアタシ、矢神花恋と、例の問題児を補正する事になった後輩の黒木雪花の二人が居る。

「せっちゃん。彼に合ってみてどーやった?」

アタシは会議室の椅子に座っては、机越しで正面にいる彼女に問いかける。因み『せっちゃん』というのはアタシが勝手につけたあだ名。アタシは委員会の子や親しい子はみんなあだ名で呼んでいる。

「あーそれが....」

彼女は言葉を濁しては右手で髪を弄っていた。彼女とは去年から同じ風紀委員で、協力して仕事をしてきたし、同じ委員でも親しい方だから彼女の事はよく知っている。そして...彼女が右手で髪を弄っているのは比較的良いことがあった時。

「なになに、いーことあったの?」

アタシはニヤニヤしながら尋ねてみる。すると、彼女はゆっくりと口を開く。

「彼が問題行動を直そうとしないので彼の部活に入部する事になりました」

なんと。彼が廃部決定の通称『部活もどき』である『空想科学部』部長なのは知っていたが、一応彼は人の話を聞かない問題児だとされている。なのにまさか昨日だけでここまで話が進んでいるとは。アタシは彼女に驚き半分、そしてこれからへの期待半分を抱く。

「えっまじ!?それってせっちゃんから入るって言ったの?それとも...」

「響先輩からですね」

「ええっ!!?」

再び驚く。彼...響からという事もそうだが、彼女...満更でもないというか、寧ろ嬉しそうだから。
良いことってこれの事か。せっちゃん今まで部活やって無かったからなー。本当の目的は別だといえ部活動が出来るのは、アタシが彼女の立場でも嬉しい。それに...今の彼女の気持ちには多分響の人柄も影響しているのでは?とも思う。

「響本人はどう思った?『問題児』って事は除いて」

「印象は意外と良い人だと。外見も悪くはないですし、私が転んでしまった時に心配したり。普通に話も聞いてくれたし、悪い人だとは思いませんでしたね」

やっぱり。思った通りだ。本人無意識だろうけど良い笑顔。こりゃかなり彼に対しての好感高いなー。せっちゃん言葉は素直じゃなくても、表情や仕草が素直だから気持ちがすぐ解る。
それに彼、響についても幼稚園の頃から接点はあったから彼の事についても結構知ってる。彼結構優しいから、今の状況になったのもなんか理由あるっぽいし。それに話聞いた感じだと根っ子は変わってないみたい。

「それが聞けてよかった。じゃ、引き続きせっちゃんにお願いしようかな。何かあったら言うんだよ」

「解りました」

アタシの言葉を聞いたせっちゃんは一礼すると会議室から去っていった。

彼女が去ってからは当然会議室にはアタシ一人だ。一人なのを利用して声に出して少し気持ちを整理しよう。

「はぁ...所謂『幼馴染み』が問題児になった時はどーしようかと思ったけど。今の状態なら大丈夫だね。昨日の会議で立候補する人がいなかったらアタシがやるつもりだったけど...せっちゃんに任せて正解、だったかもね。アタシじゃ感情に流されちゃうけど彼女ならそんな事ないし。

でも、ちょっと悔しいなぁ。アタシが行けば彼に近づけたのに。...なんて、風紀委員、それも副委員長のアタシがこんな事考えちゃいけないね!私欲を持ち込んだら駄目駄目!」

パンパンと両手で頬を叩いて邪な考えてをした自分を正気に戻す。

「よし、もうこの話はやめ!そろそろ戻らないと昼休み終わっちゃう!」

誰かが居るわけでもないのに一人で喋っては、アタシはこの部屋を後にした

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.11 )
日時: 2020/04/01 15:00
名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: J1W6A8bP)

2章 『部長と新入部員の空想科学』

#7

花恋副委員長の会議があった日の放課後。今日から私も部活動開始という事なので、部室の第2科学室にやってきた。廃部決定部活に通常教室以上に広い部屋を部室として振り分けたのは少々謎に感じる。

「こんにちは」

「お、やっときたな。遅いぞー」

「サボりの響と違って雪花さんはちゃんと授業出てるんだからこの時間が普通よ」

人がやってきて直ぐ様文句を言う響先輩。反論の1つや言ってやろうとも考えたが、既に来て座ってる赤嶺先生が私が言いたい事を全て言ってくれた。

「はいはい。俺とは違う真面目な風紀委員さんだもんなー。
じゃ、部活始めるから座ってろ。後何か書ける紙とシャーペンあるといいな。鞄は...使ってない机に置くなりしてくれ」

「解りました」

私が先輩に言われた通りに準備してると、先輩が部屋の隅にあるホワイトボードを取りに行ってた。

「あのー。赤嶺先生。今更ですが入部申請しなくても大丈夫ですか?」

「この部活無いと同様だから大丈夫。響も今年の継続申請は要らないって言われたし。その代わり一応部室はあるけど部費はないね」

「はぁ...。というか、先輩、部活はしっかりやるみたいですね」

大事なとこがガバガバだなと思いつつ、色々と道具を持って、机と棚やら行き来してる先輩を見てポツリと呟く。

「...この部室は卒業した先輩達が学校に頼み込んで残してくれた部室だからね。自分の代で廃部になるのを変えれないなら最後までやりきりたいんだと思うよ。先輩達は魔法を知ってる数少ない人。先輩達が居たから去年までの響は頑張ってこれたんだろうし。......これ、去年最後に撮ったこの部の写真」

先生はそう言っては、携帯電話に映る一枚の写真を見せてくれた。その中心には掌に炎を灯した笑顔の響先輩。回りにいる先輩方と思われる人達も何かしらの魔法を使いながら笑っていた。部員人数も多いとは決して言えない人数であったが、写真を見るだけでとても充実した部活だったのが窺える。昨日この部活の存在を知った私でも廃部させるのには勿体ないと感じる位には。

「...どうにか、この部活を再建できないでしょうか」

「そうしたいけど...無理ね。大勢に魔法を広められないだけなら、信頼できる子を探せばいいだけだけど...去年はみんな忙しくて新入部員の勧誘が出来なかった。だから本来なら『部活もどき』としてすら残ってない訳なの。でも卒業した子達って委員長や生徒会所属ばかりで、成績も優秀な子ばっかだったからね。そんな子達が揃って言うんだから『今年だけ』って特例で残ったの」

意外すぎるこの部活の歴史に私は何も言えなかった。もっと早く私がこの部活を知っていれば少しは変わったのだろうか。

「おーい。何辛気臭い顔してるんだよ。始めるぞー」

道具の運搬が終わったのだろうか、先輩は私達の後ろに来てはポンポンと肩を叩いてきた。

「ひゃ!?びっくりさせないでください!」

「だってさっきから声かけても全然反応しねぇじゃん」

「そ、そうでしたか。すいません」

「いいよ。気にしてないし。じゃあ......始める時なんて言えばいいんだっけ?」

「はぁ。そこは部活によって異なるのでなんとも」

去年まではちゃんとやってたんじゃないのかと思いつつ答える。

「そか。なら...えー空想科学部部活動はじめまーす!」

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.12 )
日時: 2020/04/05 18:34
名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: rE1CEdls)

#8

「はい、早速始めるぞ!とは言え、どっから説明したものか......
あ!なあなあ、雪花にとっての魔法ってどんなイメージだ?」

先輩は『うーん』と考えては、何かを閃いたのかポン!と掌を叩いてから私に尋ねる。

「そうですね。やっぱり何もないところから物質を生み出すイメージです。実際の魔法はどうなんですか?」

幼い頃見た女児向け魔法少女アニメを想像しながら真顔で答える。

「やっぱそういうイメージだよなぁ。
実際はだな......気体の中に『魔素』ってのがあるんだ。それは人の手を加えると変質しやすくなって、他の物質になったりエネルギーを起こしたりできる。で.....姐さん、実演してみてくれ」

先輩は途中まで真剣に説明しては赤嶺先生にふる。

「はいはい。『ファイア』!
実際呪文?詠唱?はしなくてもいいけどした方がやりやすいね。言葉は人によってやりやすさ変わるみたい。響は日本語の単語だしウチは英語とかの単語。卒業生にはエターナルフォースなんとかって子もいたね」

軽々と掌の上に炎を灯しては笑顔で説明をする先生。なるほど...日本には『言霊』とかあるみたいだしそれ関係なのだろうか。前は言霊なんてあるのかと怪しむが魔法があるんだ。言霊もあってもおかしくない。

「どーやって他の物質にできるかは詳しく知らないな。俺の親戚の天才野郎が調べてるけど...空気中から電子を捕まえたり、陰イオンの物質から電子を取ってるとか、自然放射線を取り込んでるとか、分裂してるとか色んな説があるみたいだ。
ま、これは置いといて。仕組みが解れば雪花もできると思うぞー。水とかが簡単だからやってみろ」

いきなりやってみろと言う先輩。というか、先輩の親戚に天才がいることの方が気になった。

「じゃあ...『ウォーター』!......『水源』!『流水へと変異したれ!』うう、できない...」

試しにイメージしながら唱えてみるも水は一滴もできない。出来ないせいで変な呪文も唱えてしまい少し恥ずかしい。

「あー...なら手伝ってやるよ。
利き手出して深呼吸。そんで手に血を集まるイメージして.......なんか全身から手に集まってる感じしないか?」

(先輩近い.....先輩、近くでみると結構格好いいかも...。それに手は白くて細いんだ...)

先輩は真横で私の手を掴んでは優しくゆっくりと説明をする。が、当の私は見とれていてその声は聞こえてない。

「どうだー?できそーか?」

「えっはいっ!?す、すいません、聞いてませんでした!?」

先輩の声でふと我に帰る。

「おいおい、風紀委員さんよぉ....まぁいいや。もーいっかい手に血、いや魔素を集めて。そっから水...酸素と水素を合わせるイメージをしてみろ」

「は、はい!」

先輩に言われた通りに集中して強くイメージする。すると...

「......み、水だ!出来ました!」

掌から溢れない程少ない水。でも、確かに水へと変換すること、魔法を使う事に成功した。
私は喜びで小さい子供みたいに声を出す。

「ふふっおめでと。これで雪花さんも魔法使いね!」

「やればできるじゃないか。繰り返せばもっと大量の水を出せるよーになるぞ」

先生は私の両手を掴んで、先輩は私の頭を下手くそに撫でて、それぞれ誉めてくれた。

「ありがとうございます。
監視の為でこの部活に入りましが...魔法ってできると嬉しいんですね」

Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.13 )
日時: 2020/04/07 16:44
名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 5obRN13V)

更新じゃなくてすいませんね。

今のこのサイト過疎ってるんで仕方ないと思うんですけど...やっぱ参照あんまし増えないって悲しいねぇ。小説って思ってる以上にモチベーション大事なんですね。甘く見ておりました(こんな駄文だから増える訳ないわな)
という訳ですので..もっと更新ペース落としますぅ。すいません。