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コメディ・ライト小説(新)
- Re: 溶けない星、枯れない妖… ( No.5 )
- 日時: 2020/04/05 14:06
- 名前: 紫音 (ID: j9SZVVec)
「急にお邪魔してすいません。…実は、お願い事があったんです。」
夜。
冷えるかと思い、彼女にお茶を差し出すと優雅なお姫様の様に茶碗に触れていた。
そして、静かに口を当て緑色のお茶を吸い込むかのようにすぐさま飲み干した。
「あ…、それってなんなの?」
唖然とする私にニッコリ微笑んだウレアは、早く話をしたいらしく、ピンと姿勢を正した。
「凪さんに、助けて頂きたいんです。」
「…へ?」
“助ける”?…そんな、いきなりファンタジーな要素が溢れ出していいのだろうか?状況が理解できなくていきなり立ち上がると、ガタッとテーブルが揺れた。しかし、どうやら彼女はこのシチュエーションを予測しているらしく全く動じていなかった。…だが。“狐の血を引いた人間”がいる事は科学的に証明されているが“助ける”なんてRPGめいたことはまったく証明されていない。
「動揺するのは私も分かります。…とりあえず順を追って説明しますね。」
その一声で、一旦落ち着きを取り戻すと私は膝を付いてカーペットの上に座った。
「知っての通り今や妖は人類と共存していますよね。例えば、狼の血を引く妖。猫の血を引く妖。そこんとこですかね。そして、人類のように妖にも“妖の世界”があるんです。昔は、その世界は平和でした。穏やかで居心地のいい。…でも。共存に反対する妖達で、いろいろと反乱が起きているんです。妖は人間と化物のハーフのような存在なので、人間の残虐性も持っていますし化物の戦闘能力も取り備えています。そのせいか、今や妖の世界は荒れてる…って感じです。」
「そっか…。じゃあ、もしかして“故郷に帰れない”って事?」
そう問いかけると、彼女はうつむく。そんな化け狐…彼女の目は悲しみに満ちていた。
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