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コメディ・ライト小説(新)
- Re: 溶けない星、枯れない妖… ( No.6 )
- 日時: 2020/04/05 20:21
- 名前: 紫音 (ID: UIQja7kt)
一通り彼女が今の状況を話し終えると、私は話の意味を聞くべくより彼女に近づいた。
「…で。一旦話を戻しますね。私がココに来た理由は、あなたの力を借りる為。あなたに騒ぎに終止符を付けて頂きたいんです。」
「えっ、私が…?」
困惑してもう1度聞き直すと、彼女は首を…縦に振った。そして…まるで重要な事のように、真剣な表情をしっかり向けていた。
「…これはあなたにしか出来ないことなんです。あなたという人間がいる…。運命の悪戯だとしても、あなたの様な人間をずっと探していたんです。…だから、協力していただけませんか?」
「まぁ、いいけど…。私じゃなければいけない理由ってあるの?」
少し問い詰めると、彼女は喉に何か引っかかった様に少し黙った。そして、悲しみの炎を目の中に宿させ金色の髪もおとなしくなびかせていた。…やっぱりオブラートに包んであげればよかったかもしれない…。でも、彼女も人間と同じ様なものだ。彼女には何か言えない気まずい事があるかもしれない。
「それは…。また、今度話します。それでは失礼いたしました。」
そう言うと、目を閉じて彼女は消え去ってしまった。部屋の中は木枯らしが吹いたように他に誰もいない状態であり、勉強机に置かれていた参考書も憎たらしい程そのままであった。
「…でも。夢だったのかも。そもそも、あの化け狐がここに来るなんて思わなかったし…。そんな事、ありえないよね。ちょっと疲れすぎたのかも。」
ただ、それを裏付けるように彼女が飲み干したお茶とびっくりして落としたレジ袋が、すべてを物語っていた。
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