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コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君は可愛い女の子R―――リターンズ ( No.3 )
- 日時: 2020/04/11 15:52
- 名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM (ID: FCVTIPcN)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
Introduction~イントロ~
「へぇ!一週間後には結婚式なんだ。」
私の伸び切った髪を確認しながら、美容師の町田さんは口笛を吹く。
留学前から担当してもらっているだけに、緊張もしなく友達のような感覚で世間話で盛り上がれるまでになっていた。
「そうなんです。二人とも高校時代の同級生で、式にも呼んでくれたんです。」
「凄いね、新郎新婦も同じ高校だったの?もしかして、在学中からの付き合いとか?」
私は鏡越しに頷き、なぜか自慢げに答えていた。
「しかも、幼馴染同士なんですよ。」
「マジで?青春だなぁ、甘酸っぱい!私もそんな恋してみたいなあ~!!」
町田さんはノリよく答えてくれつつ、手の方もきっちり動かしている。
「でも苦しいよね、周りが続々と結婚していく中で自分だけ結婚してないとか……どう、結婚願望あるの?」
と聞かれ私は首を振る。
「―――……結婚する気はないんです、独身で良いかなあって。」
町田さんは驚いたように目を見開く。
ざくり、ざくりと髪が切られていく音を聞きながら、不思議とスッキリとした気分になる。
だから……だろうかつい余計な言葉までこぼれてしまう。
「―――……実は、結婚する新郎は私の初恋の人だったんです。」
町田さんは一瞬手を止め、鏡越しに私を察するように見つめた。
「そっか、どんな男の子だったの?」
「えっ……!」
そんなこと聞かれたことがなかったから、言葉が見つからない。
しいて言うならば彼は―――っ。
「陽だまりのような人ですね―――……。」
私はそう告げて目を伏せる。
目を伏せれば蘇ってくる。
鮮やかな高校時代―――……眩しくて、切なくて、いつだって全力だった日々が。
悲しかった日、決意したあの日、涙を流して心から笑った日。
全部、私の宝物――――。
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