コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君は可愛い女の子R―――リターンズ ( No.4 )
- 日時: 2020/04/15 13:21
- 名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM (ID: FCVTIPcN)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
episode1【涙からの出逢い。】
「あ~、もうッ!!」
葵が時計をチラチラ見る。
「式始まっちゃうよッ、望。大丈夫かな??」
オレはなだめるように
「仕方がないじゃん、晴家さんって世界を飛び交う多忙な外交官だし……。」
(仕事もあるけど、晴家さんは最後まで天の事が好きで将来の為に諦めたんだから。相思相愛だったのは確かだったんだけど、どこかで拗れちゃってそんな相手の結婚式にオレだったら行きたくもないからな。)
そう言うと葵は首を傾げる。
(葵も一番近くに居たのに気付いてないなんてな……留学に行ったきり実家には戻ってないらしいし手紙も送られてきてない。)
「新郎、新婦の入場時間が5分前ですのでお席にお座り下さい。」
アナウンスが掛かり、指定された席に続々と座っていく。
隣にある晴家さんの席をオレ達は見つめた。
「あと1分……。」
葵は心配した顔で時計を見る。
(来なくてもいいんだ、晴家さんはそれだけ悲しい思いをしたし……義務じゃない。)
オレは一人、心の中で呟く。
タッタッタッ…スタッ。
「――――ごめんッ遅れた!!」
キレの良い明るい声が会場全体に響き渡った。
「「望ッ!!」」
そこにいたのはスーツを華麗に着こなしたあの頃の晴家さんとは似ても似つかない笑顔が似合うベリーショートの爽やか美女がいた。
オレは言葉をなくしてしまう。
「えっと、間に合ったよね?」
オレ達は軽く頷き指定された席に誘導する。
「来ないかと思った~!」
と葵は抱きつく。
「ごめんね、飛行機が遅れちゃって。」
「会いたかったよぅうう!!!」
そうこうしているうちに、
「新郎、新婦の入場です。」
アナウンスが掛かる。
華やかな音楽とともに純白のドレスとタキシードを着た天と華音が居た。
オレは主役ではなく晴家さんを見てしまう。
悲しいような嬉しいような曖昧な表情で手を叩いていた。
「新婦 華音、あなたはここにいる新郎 瀬名 天を病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「誓います。」
「それでは指輪を交換して下さい。」
二人は甘く微笑み合い、左手の薬指に綺麗な指輪をはめていく。
その時、大きな拍手が沸き上がる。
ブーケトスで華音は持っていた綺麗なブーケを天高く投げる。
ポスッ。
偶然にも取ったのは、晴家さんだった。
晴家さんは皆に注目を浴びていたが「ごめんなさい。」と欲しがっていた葵にブーケを渡した。
「のんちゃん……っ!」
新郎である天は式が終わり二次会になったら真っ先に晴家さんの所へ足を運んだ。
(晴家さん――――嫌がってる。当然だよな。元好きな人が結婚式を挙げて二次会になったら血相を変えて追いかけてくんだもんな。)
晴家さんは嫌がるように帰ろうとすると天は手を掴んで何かを言う。
****
「のんちゃん、待ってッ!」
瀬名君の声が頭の中に響く。
――――あの時と一緒じゃない。
あたしは首を振る。
(違う、変わったの。向き合える、この人とは。)
腕を掴まれ、あたしは純白のタキシードを着た瀬名君を見つめる。
「な、何か用?瀬名君―――……新郎である貴方を皆、待っているから……っ。」
とあたしは言う。
「逃げないでくれ、俺――――謝りたいんだ、あの時ッ。」
(俺は君の事を引き止められなかった、とか泣かせたとか言うつもりなの?)
沸々と怒りを越したものが沸きあがってくる。
「謝らなくていい、だから……のんちゃん、だなんて呼ばないでよ。思い出したくもないあんな事。」
あたしは零れそうな涙を唇を噛み締め、掴まれた手を振り払うと会場を出ていく。
(結婚式の招待状が届いた時、死ぬほど行きたくなかった。だけど―――道理として反するし、視たかったの。どんな顔して式を挙げるのかなって。)
あたしは足を止めると近くのベンチに座る。
(ここに来なければ、ずっと海外に逃げてれば泣くことも大人になったあの人に会う事もなかったのに。逃げたくなかったって言う気持ちの方が勝ってしまった。)
「……あたしってば馬鹿みたい。」
と溢れ出して頬を伝った涙を拭う。
「―――……どうしたんですか?」
小鹿のような震えた声にあたしは顔を上げる。
そこにはワイシャツと大きなパーカーを着た男性が心配そうに眉を下げてあたしのことを見ていた。
(!?)
あたしは急いで涙を拭って平然を装う。
「へッ、どうもしてませんが!?ご気遣いありがとうございます。」
と作り笑顔をする。
「泣いてましたよね、、、その涙、拭い切れてませんけど。」
そう指摘されて目を擦る。
「大丈夫ですか?」
ハンカチで涙を拭かれてあたしは目を見開く。
「えッ、、えっともう行きますね。」
立ち去ろうとすると「待って下さいッ!」と腕を優しく掴まれ止められる。
「あのッ、ケーキは好きですか!?」
真っ赤に頬を染めてキラキラした眼であたしを見つめる。
