コメディ・ライト小説(新)

Re: 記憶屋、私です ( No.4 )
日時: 2020/04/17 20:31
名前: 桃花染 (ID: O/vit.nk)

3話

「ここか…“エル・テンプス”。マンションなんて初めて入るな…。」

伯林青様から支給された“財布”と“スマホ”と言う物を手に、新築めいた建物に足を運ばせる。ここの言語で言うところ外見はモダン調で、藍色の壁が目立って見える。さらに、自動ドアの入口はいかにも近未来が放たれている。こんな洒落た所で私はお世話になると言うことか…。

部屋番号は、602。住宅街や、市街地を見下ろすのに十分な高さであり風が心地良いだろう。春という風に貼られた青い空も以前より近づいて見え、まるで位の高いものになった気分でもある。

「エレベーターってこんな感じか…。いけない、こんなにジロジロ見ていたら田舎者と思われるかも。…やっぱり苦労することが多いな。任務開始前から戸惑っちゃって。」

箱の様な外見のエレベーターに乗ると、コンプレッサー音を立てて上へ上へと動いていく。100年前までこのようなものは無かったが、今はこれがあるという事はどれだけの急成長を遂げたのだろうか。


エントランスからエレベーターで上って早30秒。初々しい荷物を下ろすと、床がトンと音を弾き返し一気に全体へ音が広がった。こんな事があるのも、無理もない。まだ引っ越して来て間もないのでガランとした部屋に僅かな音も聞こえやすくなっているので溜息を付いたとしても鮮明に聞こえてしまうのである。しかしこんな人間が催す日常茶飯事を、私がやっていいものか…。