コメディ・ライト小説(新)

Re: 記憶屋、私です ( No.19 )
日時: 2020/04/22 17:10
名前: 桃花染 (ID: vpptpcF/)

7話


「おはよ。緋色ちゃん。」

「あ、おはようございます。…そう言えば、マンションの事色々教えて頂きありがとうございます。4階には共有スペースもあったんですね。」

「んまぁ、“4”ってアレじゃん?病院も4階にはスタッフルーム的なものがあるし、ウチの親のご意向って感じだよ。あと住民同士の交流もやりたいしねぇ。」

朝。
麗らかな光を受けて、道路を歩くとなんだか爽やかな気分になる。人類にとっては憂鬱かもしれないが、私はこう見えて朝型人間なのである。休日なら、ベランダに出てリラックスしたかったが。

「…緋色ちゃん。なんか悩んでる?もしかして、ホームシックとか。」

「えっ!?」

何かを察されたのか…?
そもそも驚いてる時点で図星だと分かるだろう。

「そこまで大したことじゃないんですけど、昨日クラスメイトさん達が私の事凝視してたので…。私、嫌われているんでしょうか?…もしかして、“イジメ”と言うものなのでしょうか?」

悩みを一気にぶちまけると、彼女は「なるほどね」と言いたそうな顔で私を見つめた。
そして立ち止まると、彼女は口を開いた。


「…あぁ。実は、みんな緊張してたんだよ。」

「“緊張”、ですが?」

もう1度聞き返す。
すると彼女は、ニッコリと微笑んで次の返答を口にした。

「…そりゃ。転校生なんか来るの珍しいでしょ?ああ見えて、ウチの学年は不器用なんだよ。誤解招くこともあるけど、ホントは皆んなイイクラスメイトなんだよ。そこんとこ許してやって。」




_______…良かった…。





彼女の声に安心したのか、朝から芽生えていた不安感はあっという間に摘まれていた。