コメディ・ライト小説(新)
- Re: あん、どぅ、とろわ!! ( No.2 )
- 日時: 2020/04/20 16:12
- 名前: 音宮 ◆tLeuPgu5MI (ID: luVW6Vyr)
第1話 見知らぬ男
私の家は神社である。
神社といってもそんなに大きな神社じゃなくてひっそりと建っているような小さな神社。だから地元の住民しか知らない神社である。
朝一の境内の掃き掃除を終えると、朝日が昇る頃合であった。
綺麗と呑気に見ていると、御神木の方で騒いだ声が聞こえる。
どうしたんだろうと思いながら私も釣られるようにそちらの方へと足を運ぶ。
「燈。」
お父さんが私に気づいて手を振ってくれた。
「なんの騒ぎ……あの男の人……は??」
なんの騒ぎかと尋ねる前に御神木の前で倒れている男の人を見つけた。
「見ての通りだよ」
御神木が光っていたから見に来たらこの男が倒れていたんだと説明してくれる。
「こんなことは前代未聞じゃ……」
おじいちゃんも驚きを隠せ無いようでどうしたらいいものかとため息をつく。
「怪我しているようだし、とにかく家に運ぼう」
お父さんがそう提案して私は彼の胸の中にいた赤ちゃんを抱き上げ、お父さんは彼を運んだ。
「酷いけがね……」
こんな朝早くじゃ医者もやっておらず、とりあえず医者があくまでお母さんが布団に寝かせた彼の看病にあたることになった。
彼の意識はまだ戻らず、大量の血と汗が酷い状況を視覚的にも伝えている。
家族は、何があったのかどうしてあんなところにいたのか疑問は沢山あるが、御神木の前に倒れていたということもあり、これも何かの縁かもしれないと思い、助けることにしたのだった。
- Re: あん、どぅ、とろわ!! ( No.3 )
- 日時: 2020/04/21 13:58
- 名前: 音宮 ◆tLeuPgu5MI (ID: 6IhJH6i0)
第2話 謎の男
男と赤ん坊を助けてから3日。
まだ産まれたばかりと思わしきその子は、うっすらとクリーム色の髪の毛が生えており、赤ちゃん特有のぷにぷにとした感触、とぎとき開いてみえるコバルトブルーの瞳が私たち家族を惹き付けた。
「じいじじゃぞぉ〜、よちよち」
不思議なことにこの容姿と赤ん坊ということにベタ惚れしたのは、お母さんでもなくお父さんでもなく、おじいちゃんで、付きっきりで世話をしてくれている。
わたしはというと、男と赤ん坊が来たということよりも御神木の樹洞が気になって仕方がないのだった。
「奥の方見ると、塞がってるのになぁ」
男がこの辺の人ではないということは、男の北欧のような端正な容姿と中世ヨーロッパのような洋服から見て取れる。
また、男が来る直前、御神木の樹洞の中から光と空気が流れ込んできたとお父さんが言っていたから私は樹洞の奥の世界から来た異世界の人だと彼を推測したのだった。
「燈!大変だ!」
樹洞を覗き込んでいると、お父さんが焦った様子で呼びに来た。
「どうしたの」
「彼の意識が戻った」
ぜいぜいと息を整えながら私に知らせてくれる。えっと驚きながらお父さんにもう一度聞き直す。すると、何度も頷くからさらに私は驚きを隠せなかった。
医者によると大量の血が不足していてそれに加えて何発もの銃弾を受けており、尚且つ体力も消耗しているから助からないという話でとりあえず集中治療室で治療を続けてみるということだったが……。
「そっか……よかった……」
助かったんだとほっとため息をついた。