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コメディ・ライト小説(新)
- Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.2 )
- 日時: 2020/05/05 16:38
- 名前: 真朱 (ID: 6..SoyUU)
#1 「あたしは継承者になるよ」
「あたし、櫻庭家継いで霊媒師として生きていきたいんよね。」
「…は?」
高校入学まで2週間。そして春休みの事である。紅新の爆弾発言が、私の耳を貫いた。驚きすぎたのか、それとも_とにかく、机に置いてあったファストフードを落とす寸前をぎりぎり保っていた。
あんなに「自分の道を行く!」と母様と張り合っていたクセに、変な物でも食べたのだろうか。…逆に心配になってしまうのだ。
誰も気付かないかもしれないが、この意志は誰かに何かを吹き込まれたからに違いない。元々、紅新は流されやすい__言い方は悪いが、薄っぺらい性格でもある。__今喋っている方言“もどき”も従姉妹に吹き込まれたものなのである。
「せや…あたしは櫻庭家の次女でしょう?紅雨には迷惑をかける訳にはいかんし…あたしが霊媒師になるんよ。穂那瑠にも「あんたには霊媒師が天職」言われたし。あたしには才能があると思うんよ。そう、思わない?」
「…ん…。」
言葉が詰まる。切羽詰まる。
この言葉で、今の心情は表せない。口に含んでいた炭酸飲料が、地の底から溢れ出てくるような…違和感が、今心を包んでいるよう。
「母様には、言ったの?」
「まだかな。…まずは紅雨に言いたかったんよ。何年間も一緒にいた仲、全て分かち合うのが仲良し言うもん。穂那瑠が応援してくれっなら、紅雨も応援してくれっかなて思って。」
「じゃあ。…穂那瑠に何か言われたっていうの?」
「…な訳無いじゃん。あたしが決めた事やから、信念は曲げんよ。」
彼女は無邪気な笑顔をを私に見せた。
紅新のその明るい笑みに、私は何か隠されているかもしれない。
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