コメディ・ライト小説(新)

Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.4 )
日時: 2020/05/04 14:15
名前: 真朱 (ID: ET0e/DSO)

#3 「深夜の灯に」


「眠れない…」

ただ単に、眠れなかった。
目が冴えて、白い天井を意味も無く見つめていただけ。虚しい光景が、静かに広がっていた。

溜息を付きながら、カレンダーの方へ視線を向けると見事に明日の欄に赤丸が付けられていた。

『入学式』

明日高校に入学するとなると、一気に緊張の波が押し寄せてくる。
そりゃ高校生だもの。今まで中学生=『junior』だった者がいきなり一段落上に行く。
簡単に言うと、『何処かの子供』から、『青春真っ只中の少年少女』に移り変わると言うものだ。

「でも、紅新とは離れちゃうな…。」

元々この近くには偏差値の高い高校がいくつもある。より高みを目指す学生達はだいたいそこで別れてしまう。私と紅新は同じ家に住んでいるさながら、志望校は違う。そこが虚しいのである。

だが霊媒師目線から見ると、新学期と言う物はよく霊が溜まりやすい季節。霊媒師としては少し依頼が増えるのである。

ただ私は、春の陽気に満たされながら明日を待ちわびていた。