コメディ・ライト小説(新)
- Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.9 )
- 日時: 2020/05/07 16:52
- 名前: 真朱 (ID: okMbZHAS)
#8 「見たくないけど見たいんだけど…」
見たくない。
掲示板。
何だか…現実を受け入れてしまいそうで、1年間憂鬱かもしれないし。一人になるのが怖いのは、こう言う事かもしれない…。
「紅雨?」
「____あ。ごめん、ボッーとしてた。」
陽和は心配そうにこちらを見つめてきた。
彼女は私よりしっかり者である。きっと彼女なら、新しいクラスで友達が居なくてもすぐさま作ってしまうだろうに_____。
「まだ見つかんないの?紅雨って前の方じゃない?」
「あっ。そっか…。」
気が動転したのか、上の方ではなく下の方を見てしまっていたようだ。気を取り直して、左端の1年1組から名前を見ていく。
_____… 担任 津野 真理
青木、新井、新木、飯塚、井口、江原、大野、金森…………………。
艷やかな目を動かしても、まだ見つからない。
それに『お』から『か』へ移り変わっているということは、このクラスに私はいないという訳である。
そして横にズレて2組。
そもそも出席番号1番目から『か』で始まっている訳であり、ここにも____いない。
更に横にズレて3組。
岩城、小野、加濃…。これまた居ないのである。
そもそも、『櫻庭』なんて結構目立つものなのだからすぐ見つかるはずなのだが_____。
「と言うか、今何組まで見た?」
「えっと、3組。…本当に心臓に悪い。」
弱音を吐いてもしょうがない…。
そんなでは、毎回新学期に心が潰れてしまうであろう。そして残念ながら、こんな苦しい塊と、社会人になるまで闘わなければならないのだ。
「____じゃあ。4組飛ばして5組のとこ見ればいいじゃん。」
「…は?」
「時間の無駄だし。いいんじゃない、それで。」
そのような肝を潰すことなど出来るのだろうか。
しかし、早く結果を知りたい気持ちもあるし早く教室へ向かいたいという気持ちもある。
私は覚悟を決めて、5組の欄に目を飛ばした。
『5組 担任 日田 香音 …鵜飼、卯月、恩田、櫻………………』
その瞬間、何かが抜けたような気がした。
『櫻庭 紅雨』