コメディ・ライト小説(新)

Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.14 )
日時: 2020/05/10 15:06
名前: 真朱 (ID: HPUPQ/yK)

#13 「学食のアイスティー」


「えぇっ、そんな悩み?」

陽和は少し苦笑しながら、ナポリタンに口をつけていた。

「そんな悩みって…鼻であしらわないでよ。」

「ごめんごめん、だって悩むほどではないでしょう?紅新ちゃんが既読しないって…どうせ忙しいんじゃない?と言うか、思春期の女子ってだいたい家族と距離を置くもんよ。…あ、もちろん私は家族と距離置いてないからね。」

午後。カフェテリアにて。
稔川高校は珍しくカフェテリアがあり_____かわりに購買部がないけれど____だいたいの生徒がそこで昼食を取る。メインディッシュやドリンク、デザートもあり最近では“バナナスムージーと言うものが流行っているらしい。そして、今私は陽和と共に昼食を取っている。

目の前には、アイスティーとカツサンド定食。
結構前に頼んだのに、まだ全然減っていない。

「まぁ、そうかもしれないけどさ。ちょっと心配なんだよ。」

「え〜、紅雨は心配し過ぎなんだよぉ。きっと紅新ちゃんも紅新ちゃんで上手くやってると思うよ?紅新ちゃんは強い子だから。私が保証する。」

「そっか…。」

私は冷えたアイスティーに口をつけた。
それを一口吸い込むと、茶葉の香りが鼻から抜けていく。…この香りと共に、悩みも抜けていけばいいのに。

「ほら、紅新ちゃんは紅雨ママと一緒で以外としっかりしてるでしょ?ましてや、紅さんの妹だしこの先絶対苦しまないって!…あ。紅雨、全然箸進んでないじゃん!早く食べないと冷えちゃうよ。」

“紅雨ママ”と言うのは、“櫻庭 翡翠”…母様の事だ。血は繋がっていないので、“紅新ママ”の方が妥当だと思われるが…。

「でも。紅新なら大丈夫か。」


思いにふけながら飲んだアイスティーの味は、ほんのり甘かった。