コメディ・ライト小説(新)
- Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.20 )
- 日時: 2020/05/15 16:17
- 名前: 真朱 (ID: Yv1mgiz3)
#17 「風紀委員が口を開いたら」
高校の新学期が始まってから、まだ1週間も経っていない稔川高校。そこには、不穏な空気が何かをかき乱していた。
『ブレザーは第2ボタンまで閉めなさい!!』
響いた。
これが稔川名物“悪魔の声”と言うものらしい。
週に1度、高校では風紀委員による抜き打ち検査があるらしい。その日程は、毎回異なるし時間帯も異なる。
「ちょっとあなた、ネクタイは締めるべき!何故持っていないのよ!」
怒声が隅々まで行き渡ると、とある女子生徒が声を上げた。
「るっせーなー。ネクタイなんて締めなくても良いだろ?それにそんな固く生徒達の事を見下ろしてたら、嫌われるだけじゃなく学校の評判も落ちると思うけどな?もっと優しく注意したらどうだよ。」
彼女は上から目線で上級生____風紀委員を見つめた。それはまるで、自分の部下を見るような目付きであり『上級生』だと分かっていないかのような態度であった。
「あなた!女子たるもの、言葉遣いは丁寧にするべきよ!」
彼女の意見に、風紀委員が反論をする。
(紅雨。)
あの風景に、興味を寄せていると声が振り被ってきた。
(陽和、どうした?)
コールアンドレスポンス。
この言葉が今の状況を表している____簡単に言えば、会話だが。
(あの子…新木さんの事知ってる?)
(新木、さん…?)
確かにそのような名前、このクラスに居た気がする。
新木 ユカ。
荒っぽく喧嘩っ早いが、学力は高くスポーツも万能。そんな彼女、その性格から高校へ進学できないとも噂されたらしいが、体育の授業の後は必ず後片付けを率先し遅刻や早退も一切無かったという。根は優しいと言うのである。
(そう言えばこの前ね。同級生をイジメてる男子中学生をボコボコにしたらしいよ。喧嘩は強いんだねぇ。)
(ぼ、ボコボコ?)
確かに彼女は優しい。
…………しかし、私はあまり彼女に関わらない事を心の中で決めた。