コメディ・ライト小説(新)
- Re: バタフライ・エフェクト【改題しました】 ( No.3 )
- 日時: 2020/07/09 17:44
- 名前: 心 ◆sjk4CWI3ws (ID: cl9811yw)
二話 国立魔法学校
ルイーズが立ち去り、二人きりになったリビングでエルとルークは俯いていた。
ぼんやりと辺りを暖炉の火が照らしている。
先程から、エルは膝の上に置いた二本の短剣を見つめたまま動かない。耳に掛かっていた琥珀色の髪が、スルリと外れ落ちる。
ぱさりと音を立てて申請書とやらを捲ったルークは、ぼんやり裏面の校則を読んでいた。
「その一………生徒同士の私闘は禁じないが、無関係の生徒を巻き込んだ者は問答無用で懲罰とする………その五……一組、二組、三組の中で最も学期間成績の良かった組には……」
ルークの声に顔を上げたエルが、不明瞭な声で呟いた。
「うるさいです、ルーク。貴方、それを承諾する気なのですか……?」
「別に。オレはエルとは違うのだから、オレが何を選ぼうと良いでしょ? 家族でもなんでも無いんだから、干渉しないで。」
ルークは優しく微笑みながら、けれど確実にエルを突き放す。
家族、ましてや仲間なんて、とルークは思う。血の繋がりを持つ者ですら、人は非情だ。今までの愛情が演技だったかのように裏切って。
結局、オレもそうだ。血は争えないな、とルークは思う。生きる為に、居場所を失わない為に、捨てて殺して演じる。
エルが相方になる前に、本業の殺し屋が相方だったこともある。
そいつらも、足手まといになった時は切り捨てて来た。自分が生きる為だけに。
家族と同じだ、オレも。
そう独りごちたルークは、ふっと息を吐いて立ち上がる。
ルークを見たエルは、スッと目を伏せて手を伸ばした。
「私の分、取って頂けますか?」
「あ……ほら、これ。」
紙をエルへ手渡してから、ルークはテーブルの方へ移動した。
転がっていたペンを手に取り、そっと紙を押さえる。
ふと気になったように顔を上げたルークは、ちらりとエルへ目を転じた。