コメディ・ライト小説(新)

Re: 君の赤い糸が僕と繋がっていますように 【短編集】 ( No.1 )
日時: 2020/05/18 14:56
名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM (ID: FCVTIPcN)

01.赤い糸

―――大好きな人と運命の赤い糸は繋がっていると、私は思う。
家は隣だし歳は離れていても、ずっと一緒だった。


「え、、、今……智くん、なんて言った?」
私はギュッと手を握り締める。
「ちゃんと聞いてろよ?――――…愛子。俺な、彼女が出来た」
恥ずかしそうにそっぽを向く。
突然の幼馴染の告白に私は耳を疑った。
人気の少ない文芸部前廊下に夕日が影を落としてる。
今も昔も傍にいるのは私だと……思っていた。
それで、、初めて好きになって初めて恋人になって……お嫁さんになるのは私だと思っていた。
(けど――違ったんだな。こんな甘酸っぱい表情見たことない、、私にはこんな表情させないもん)
気に入っていた短い黒髪を智くんの好みに合わせて茶色に染めて長く伸ばした。
可愛いって、似合ってるって言ってくれた薄紅色のリップも塗った。
スカートも短くして智くんの好みに合わせた自分になった。
それで智くんが私に意識して好きだって言ってくれるなら良いと思ってた。
―――なのに。

「園芸部の先輩なんだけどさ優しくて明るくて真夏の太陽みたいなんだよ。漫画好きっていう趣味もあっててさ―――……何十億人もいる世界の中で好きな相手を見つけてその相手と恋人になるってすっごい奇跡だよな!」

嬉しそうに眉を下げて頬を桜色にふんわりと染めて微笑む彼。
(初めて聞いたな、、、好きな相手がいたなんて――――何にも知らずに今さっきまで妄想を巡らせてたのかあ)
「だから、今日は一緒に帰れない。ごめんな、じゃあ行くから」
さっと立ち去っていく彼を見つめる事しかできなかった。
幸せな彼の表情を見ていたいって思った。
その表情にさせたのが自分じゃなくても―――――そんな表情が見れたのが素直に嬉しかった。
「、、、馬鹿だな、、、本当、私ってば嬉しがってどうすんのよ……」
愛する子に愛子。
誰かを、皆を愛する子になってほしいっていう意味。
でも愛するんじゃなくて愛されたい。
他ならぬ柳木 智久に。
「ならいっそ……それならゆっくりじっくり教えてあげるよ。智くん」

“私のほうが智くんの事が好きで最後は私のものになる”って。

私は零れてきた涙を拭って口角を無理矢理、あげる。
「最後は私のものになるんだから、、、今はただの一個下の幼馴染でいたあげる」
智くんの好きな所なんてその優しくて明るくて真夏の太陽のような先輩よりも私のほうが言えるんだから。
人参が嫌いで私に頼るとこ。
悪ガキみたいに笑っちゃうとこ。
なんにも考えてなさそうなとこ。
意外と繊細で泣き虫なとこ。
なんなら占いが好きな乙女チックな思考も。
不器用でバカなとこも。
全部好き。
おかしくなるほど大好き。
昔から好き。
私は黒に髪を染め直して制服を校則に沿って着る。
長い髪も黒に染め直したら野暮ったく見えたから短くバッサリと切った。
「この長年の想い、、、無駄にしたくはない。絶対に諦めない」
私は足取りを軽くして真夏の太陽に向かって微笑んでやった。
「負けないからなッッ!!」
――――太陽なんかに負けてたまるか。
11年越しの彼への恋心。
智くんの運命の相手が私じゃなくても無理矢理でもなってみせる。
私の赤い糸と智くんの赤い糸――――繋げてみせる。