コメディ・ライト小説(新)

Re: カオスヘッドな僕ら ( No.2 )
日時: 2020/07/17 15:56
名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)


 「あははははは! ごめんごめん。そんなに怒らんといてや」
 「人生初キスの相手が、まさかの天使とは……」

 ケラケラとお腹を抱え、笑い転げるのはセーラー服の女の子。
 ボブヘアの髪と赤い丸メガネが、彼女の服装にとても合っている。
 ただ一つ気になるのは、その頭に浮いている光輪と、背中に生えている二対の羽だ。
 これで服も白いワンピースだったら、もう完全天使の正装。


 だからか。


 「え、何でセーラー服?」
 「うちを見て驚かんどころか、女の子の服まで気にすんの? それ、誰得なん?」
 「黙れ堕天使」


 ウキャキャキャと口を大きく開けて、再び笑い転げる天使。
 人に叱られて興奮するタイプだろうか。だとしたら僕の人生終わってる。


 「別に、最近はこれが流行りなんよ。可愛いやろ?」
 「それで君は何なの? マゾ?」
 「えらいカンチやな。うちは、君を天界に案内する、ただのすがない天使や」


 いやいや、『ただのすがない』じゃなくて『完全にS』の天使だろ。
 ……え。ってことは僕はやっぱり……。


 「死んだで。少しは自分の命大切にしいや」
 「少しはフォローしてくれへんの!!??」


 あ、ヤバい。コイツの変な口調がうつってしまった。
 そもそも、セーラー服で羽生えてて輪っかついてて関西弁話す変な奴に、『天界はこちらです』って案内される僕ってどうなんだ。

 こんなことになるなら、もっと親孝行すればよかった。
 今は弟、『炙り昆布、まだ?』って泣いているのかなあ。
 

 「それで、僕は君に…えっと」
 「うちの名前はクコや」

 クコ? おかしな名前だな。
 まあ、周も充分変だと思うけど。

 「うち、九人姉妹なん。末っ子なんで、九子クコや」

 ……結構、安直すぎる名前だった。
 じゃあ、君のお姉さん方の名前も、もしかしたら……。


 「一子かずこ二美ふたみ三子みこ四子よつこ五子いつこ……」
 「あ、もういいです」


 (お母さぁぁぁぁん、もうちょっと名付け頑張ろ―――――――!!!)


 天使、いやクコは、僕の顔をジッと見つめてくる。
 何のつもりか分からないが、取りあえず何も言わないでいると…。


 「君、ひょっとして今エ〇いこと考えてたやろ」
 「黙れバカ」


 こいつ、本当に僕を天界に送り届けるのが目的なんだろうか?
 ひょっとして、ただ僕をからかうためだけに地上に降りて来たのだとしたら。



  ピィンッ


 「ちょ!? 何するん!?」


 猛烈にむかっ腹が立った僕は、クコのおでこにデコピンを食らわせてやった。