コメディ・ライト小説(新)

Re: カオスヘッドな僕ら ( No.8 )
日時: 2020/09/16 07:11
名前: むう (ID: 9Yth0wr6)

 「あのう、ちょっといいですか?」


 僕と紗明が、最近人気の弾幕ゲーム・デーモンコロシアムの話に夢中になっていたとき。
 不意に後ろから声をかけられ、思わず「ひゃふうっ!?」と悲鳴を上げた。
 後ろにいたのは、つい先ほどまでウザいオーラをプンプン漂わせていた女の子だ。


 学校指定のブレザーにチェックのスカートの制服が、セミロングの髪型にとても合っている。
 そして、ほっぺたには白い札。
 女の子はさっきまでとは打って変わり、おどおどと口を開いた。



 「は、はい、なんでしょう」
 「………え、えっと、あの、私、なにがどうなったのかよく分からんけん教えてほしいなって……」


 えーっとですね。
 僕もよく分からないんですけど、全てはそこの死神の仕業らしいですよ。
 なんでも憑依? をしていたらしく。自分で言ってて全然分かんなくてごめんね。


 そう伝えると、女の子はぷうっと顔を膨らませて、横でブレイクダンスを踊っている彼をギロリ。
 どうやらこの子、バリバリの霊感持ちらしい。
 今の今まで自分が幽霊だと言うことを忘れていた僕は、その事実にハッとする。


 「紗明、また私に乗り移ったの? やめてって言ってるのに聞かんね……」
 「ハイッ、だってアルジ様はとってもチャーミングで可愛っすから!!」


 紗明がコンマ何秒レベルで返事をする。一瞬だが、チラリと犬の耳と尻尾が見えた。
 僕の横でクコがげんなりとため息をつく。
 パリピの上にロリコンまであるのか。まぁこの子が可愛いってことには同感だけど。


 「ちゃ、チャーミングって……嬉しいけど、もう乗り移らないで…」
 「あのう、キミこの死神と面識あるの?」


 「うん、なんか庭で倒れてて……『お腹すいたァ』っていうから、ごはんあげたのが出会い」
 「餌付けすんなよ死神に!!」


 キミのそのやさしさには本当に頭が下がるんだけど、呼び寄せたものは大きいよ。
 逃がした魚は大きいじゃなくて、「なついた死神はウザい」に実際なってるんだし。

 あのう、キミが嫌じゃなければ、こいつしっかり世話してくれないかな。
 


 「うん……分かった。私、栗坂八雲くりさかやくも。君は?」
 「僕はモモ……チッッッッ」

  
 名乗ろうとした直後、クコが「あ、髪にゴミついとる」と言って、僕の髪を思いっきり引っ張る。
 いででででででででででで!! はげるはげるはげるはげるはげるッ!!!


 「えーーっと。おモチくん……だね。よろしくねッ」
 「いや違います百木です」


 僕はとっさに答えたが、栗坂さんはずっと「おモチには醤油派」と言って聞かなかった。
 というわけで、おモチにはマーガリン派の僕は、ただ黙るしかなかったのだった。
 マーガリンっておいしいんだよ? 今度絶対やってみて。