コメディ・ライト小説(新)

第弐話「図書館のサボり魔」 ( No.4 )
日時: 2020/08/05 16:26
名前: むう (ID: 9Yth0wr6)

 そりゃあ、正面に妖魔がいたらなあ。
 見える人は慣れているんだろうが、このありさまだからな。

 俺は利犬の頭をぺシッと叩いた。

「お前何してるんだ、変態ッ!」
「ちょっとやめろよ。
 ほら、純粋な少女には俺の魅力が引き立って見えるんだよ」

 俺には全然、全く、一ミリも見えないよ!!!

「こいつとは主従関係だよ。
 俺が主で、こいつが使い魔。
 まぁ、使い魔っていうより、友達の感じが強いけどな」

 使い魔って言っても、言うこと聞かないし。
 勝手に変なことするし。

 出会ってすぐの、あの渋い印象は跡形もなく消え失せて、今はお調子者っぽさが滲み出ている感じですかね。

「友達…ですか。いいですね」

 由良は本のページもめくりながら、そっと呟く。

 この子は、あまり人に興味がなさそうだな。
 ちょっと冷たいし、口調に抑揚がなく淡々としすぎだ。
 そんなんだから、人と壁をつくっちゃうんだろう。

「ほら、笑えば誰だって親しみやすくなるもの。思い切ってスマイルやってみなよ」

 俺は自分の頬を両手の人差し指で押して、口角を上げた。

 多分今の表情、とてつもなくヤバイな。
 変顔だよな、笑顔ではなく。

「……ふざけているんですか」

 ふざけてねえ!!! と言いたいところだが、ふざけています。ハイ。

 でもなんか、この子面白いな。
 素っ気なさを装っているけど、結構かまってもらいたそうだ。
 で、かまってやると今度は距離を置いてくる。

 こういうのを最近はツンデレって言うんだよね。
 まだまだお子様だな(←お前もだろ! というツッコミは無しで)

「ほらほらぁ、年下には優しくだろー」

 利犬が俺の背中をバンバン叩く。
 バッシイイィ!! という快音が図書室に響いた。

 おまえな……。主にも優しくって教わらなかったのかァァァァ………!!?
 

「この、駄犬!! ドックフードやらねえぞ!!」
「え、それはやめてゴメン俺が悪かった、由良ちゃん助けて!」
「出会ってすぐの他人に助けを求めんじゃねぇぇ!!」


 アーメン。