コメディ・ライト小説(新)
- Re: 平和主義の魔王は今日も頭を抱える~戦いたいとかお前らバカなん ( No.15 )
- 日時: 2020/08/27 12:09
- 名前: あお (ID: ikU4u6US)
俺はアレを使うために詠唱を始めた。
「──我、原初より生まれし奈落の王にして、無の根源に命ずる。わが敵を黒きその身に幽閉せよ──」
俺の詠唱に合わせて放出される膨大な魔力に、大気が、大地が、空間がビリビリと震える。
誰かがその光景を見たら、天災の前兆のように感じるであろう。そしてその解釈はあながち間違っていない。なぜなら、俺が今引き起こすのは、魔法という名の『天災』なのだから。
「──終わりなき終焉を、苦痛を、彼の者を、終わりすら無き『無』へ誘え──」
「ウゥゥゥゥ!」
「『 奈落 』」
──詠唱が終わり、魔法が発動。
──ヒビが入った。『空間』にヒビができ、ドンドンと広がってく。裂け目からは得体の知れない、『闇』が顔を覗かせ手を伸ばす。
「ウ⁉ ウ、ウゥォォォォ!」
感情を持たない筈の傀儡巨兵 すらも、その光景に恐怖を覚えたのか『無命騎士団』を発動し、ゴーレム達に手を伸ばす『闇』を攻撃させる。
──ゴーレム達は消えた。いや、正確には、『飲み込まれた』。飢えた『闇』にとって、傀儡巨兵 もゴーレムも変わらない。目の前にいるのは等しく──エサ。
──すでに、ヒビは傀儡巨兵 を囲む程に広がっている。
その状況に危機感を覚えたのか、傀儡巨兵は奥の手である『 巨兵宝炎』を使う。
凄まじい爆炎と、溢れ出る閃光が 辺りを包み込む──
──筈だった。その爆炎も閃光も全て、『闇』が飲み込む。もっとエサが欲しいとばかりに『闇』は手を伸ばし、土を、岩を、山を、
── 傀儡巨兵 を、……飲み込んだ。
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「どうしよ、これ。」
俺の目の前には、何故か知らないが大穴が開いてる。土砂すら残ってないその大穴はまるで、何かに飲み込まれた跡のようだ。俺は何も知らないが。
周囲には大魔法を使ったあとのように膨大な魔力の残滓が残っていて、魔力の波長も俺のに似ている。俺は何も知らないが。
……断じて俺は何も知らない。そのスタンスでいく。
それに俺には素晴らしい解決策がある。
「……なるようになるだろ!」
現・実・逃・避☆ 先人は偉大な格言を残したのである。そう、「なるようになる」!