コメディ・ライト小説(新)

第一話 召喚された……、魔王として。「は?」 ( No.2 )
日時: 2020/08/24 00:49
名前: あお (ID: ikU4u6US)

 待て待て待て、どうなってる?これどういう状況?つーか、コイツ誰──
 
 「──初めまして、そしておめでとうございます! あなたは邪神様に選ばれし『魔王』となるべき御方。我々はあなたを歓迎します!」

 「ま、魔王?」

 「そう、魔王です! 闇の根源にして、絶対悪。魔族を従え、凶悪な魔獣と共に世界へ牙をむく、まさに天災! あなたにはそうなるべく、邪神様から遣わされたのですよ。」

 「ごめん、何言ってるか全くわからん。」

 邪神?  魔王? 何言ってんだコイツ。開幕早々ヤバいヤツに会ってしまった。コイツは絶対関わっちゃいけないヤツだ、空気として扱おう。うん、そうしよう。

 「あれ?おかしいですね……。『異世界』から来たとは言え、言葉は通じる筈なのですが……。」

 ん?……空気が音を出しているようだが気にしな──

 「ちょっと待て、今の空気あんた の言い方だと……、ここが『異世界』……俺のとことは違う世界みたいに聞こえるんだが?」

 まさかなー、なんかネット小説で読んだ「異世界転移」ってやつにすげー似てるけど気のせいだろ! というか気のせいであって下さい、お願いします。

 「ああ、言葉は通じましたか! ええ、そうですよ。ここはあなたのいた世界とは別の世界! 邪神様が魔王の素質のあるあなたを『召喚』したんですから! ……というか私のこと空気って……。」

 「はぁぁぁぁぁ⁉ ふざけてんのか、テメェ‼ 」

 「いえいえ。受け止めきれないのは分かりますが、れっきとした事実ですよ。」
 
 待って待って一旦落ち着け俺。そう、心をクリアに──

 「……そ、そうだ。夢だ、夢に違いない。大体こういうの夢落ちで済むんだよ。うん、これしか無い。というかこれじゃなきゃ無理。」

 「お言葉ですが……、このような現実的な夢を見たことがお有りで?」

 そう言って空気アイツ は手を開き、魔法陣を展開した。え、ホログラムとかだよな? そうだよね?

 「な、何だソレ?」

 「まぁ、見てて下さい。」

 そう言って、アイツは掌から……炎をだした。

 「……それって、サタナスのスキルの『着火イグニッション 』だよな……。」

 一連の動作は『着火イグニッション 』の動作と全く一緒だった。あれを手品で再現できるとは思えないし、そもそも現在進行形で掌に炎が浮いてる事自体おかしいのだ。

 「あぁ、そういえば、あなたはこの世界の知識を持っていらっしゃるんでしたね。」

 「この世界の知識っつーか、ゲームのだけど。」

 「げーむ?よくわかりませんが、これで信じていただけましたか?」

 ……取り合えずほっぺたをつねってみる。

 「普通に痛い。」

 「納得いただけましたか?」

 「ぐぬぬぬ……。」
 
 正直、絶対納得したくない。こんなん夢だと信じたいし、死んだら覚めんじゃねとか思ってたりもする。が、それで本当に死んだらシャレにならんので……

 「とりあえず、ここが異世界だと仮定して話を進める。」

 「分かりました。それでは簡単にご説明させていただきます。」

 「うん。」

 「まずは、あなたを召喚した邪神様の目的ですが……。」

 「そう、それが知りたいんだよ!」

 「それはもちろん……、魔王様になっていただくためです!」

 「うん、とりあえず黙れ。」

 「理不尽⁉」