コメディ・ライト小説(新)
- 第二十話 王女の苦悩 ( No.21 )
- 日時: 2020/08/31 15:41
- 名前: あお (ID: ikU4u6US)
目を開くと四天王達が俺の顔を覗き込んでいた。
「えーっと、何してんの?」
「おぉ! 魔王様が目を覚ました!」
「心配したのだー!」
「黄泉の住人とならなかったことを祝おう。」
「…………よかった。」
んー、そうだ、確か結晶に魔力を流し込んだせいで、魔道具が誤作動を起こしたんだっけ。それで意識が無くなって──
「あれは、何だったんだ?」
「どうしたのだ?」
「いや、意識を失ってる間、昔の知り合いと話してる夢みたいなものを見てな。夢にしては現実味があったような……。」
「ふーむ。それは、魔王様の記憶では?」
「記憶?」
「えぇ、おそらく、『原初母』に魔力を流したことで誤作動が起き、なんやかんやで魔王様の脳に干渉したのかもしれません。」
「なんやかんやって、お前適当すぎんだろ! ……というか、もしそうなら俺の体大丈夫なんだよな?」
「良くわかんないけど、魔王様の体に異常は無いらしいのだ。」
「そうか……。まぁ、何もわかんないし、考えても仕方ないか。」
「えぇ、目が覚めた事を喜びましょう!」
~sideレノ(王女)~
「レノ様、失礼ながら、お気は確かですか?」
「まぁ、そうなるわよね。」
王女──レノは考えていた。
魔族によって連れ去られるも、帰ってきたレノを国王や臣下達は泣いて出迎えた。そして、「お礼がしたい」と言って、しきりに誰に助けられたのかを聞いてくるのだ。
しかし、まさか、「魔王に助けられた。」などと真実が言える筈もなく、「記憶がはっきりしない」と苦しい言い訳をしていたのだ。
だが、いつまでもそんな言い訳を続けるわけにもいかない。それに、自分は魔王に「夢を叶えて見せる」と言ったのだ。それで、一番信用できるメイドのアリアに事実を話してみたのだが……。
「で、でもね、人族が魔族を嫌ってるからって、向こうも私達を嫌ってるとは限らないじゃない! だから──」
「お言葉ですが、レノ様は嫌ってる相手と仲良くしたいと思いますか?というか、魔族と人族は幾度となく争っています。今更、好き嫌いも無いかと。」
「あ、はい。」
正論である。レノに反論の余地は無く、再びどうしようかと考え始める。しかし、それではふりだしに戻ってるということをレノは知らない。