コメディ・ライト小説(新)

第二十一話 知識チート ( No.22 )
日時: 2020/08/31 19:18
名前: あお (ID: ikU4u6US)

 「王様っぽいことがやりたい!」

 急に叫びだした俺をガオンが困惑した顔で見つめる。

 「……どうしたのだ王よ。そなたは、すでに王の座についているであろう。」

 「違うんだよ、そうじゃないんだ!」

 「何が違うのだー?」

 「俺はもっとラノベ感溢れる、現代知識でチート無双がしたいんだよ‼」

 「ちーとむそう? 王のいた世界の言葉は我には理解できないな。」

 ガオンの冷静な切り返しにヒートアップしていた俺は少し落ち着く。

 「コホン……。うん、いや、俺の世界での知識を使い、魔族をより発展させたいという話だよ。」

 「魔王様、目を逸らしてるのだー。」

 「え?な、なな、何を言ってるのやら! 言いがかりは──」

 「じーっ。」

 「…………。」

 「じーっ。」

 「しょ、しょうがないだろ! 俺だって、現代知識で無双して、ウハウハになる願望くらいあるもん! 戦うのは嫌だけど、知識チートやってみたい願望はあるもん!」

 「別に誰も責めてないのだー。」

 「う、うるさぁぁぁぁい‼」

 「王よ、さすがに理不尽では……?」

 「…………とにかくやるぞー。」

 「無視……。」

 ----------

 で、俺は考えた。現代知識で何か使えそうなものがないかめっちゃ考えた。

 「魔王様、頭から湯気が出てるのだー!」

 うーん、何か無いかな。魔族の知能を考慮すると、どうしても選択肢が少なくなるんだよなぁ。

 「湯気、湯気出てるのだー‼ ガオン、ガオーン!」

 湯気?待てよ、湯気、湯気、湯気……。そうだ! 蒸気機関なんてどうだろう! 

 「どうした、リーチェ。何が──って湯気⁉」

 「なんだよ、さっきから湯気、湯気──ってなんだこれ⁉ え、頭から湯気出てんだけど⁉」

 ----------

 「この世界ってさ、輸送機関みたいものあるの?」

 「ゆそうきかん?」

 「あぁ、何かを運ぶ道具って言えばいいのか?」

 「……馬だな。」

 「それ以外はないのか?」

 「無い。」

 よし。いける! 鉄道作り、ちょうど良い暇つぶし──じゃなくて魔族の発展の礎となる!