コメディ・ライト小説(新)
- 第二十五話 VSゴールドドラゴン ( No.26 )
- 日時: 2020/09/02 23:55
- 名前: あお (ID: ikU4u6US)
咆哮と共に現れたのは一匹の巨大なドラゴンだった。金色の鱗に四十メートルはありそうな体躯。
深紅の瞳は見るものに根源的な恐怖を感じさせ、四天王達ですら僅かに気圧されていた。
「ゴールドドラゴン……。」
ガオンがポツリと呟く。それに呼応するかのようにゴールドドラゴンは咆哮を上げ、俺達に襲い掛かった。
「させないのだ!『剛鉄拳』!」
鈍い銀色に輝くリーチェの拳とドラゴンの鉤爪がぶつかり合う。
凄まじい衝撃音が鳴り響いた。ドラゴンとリーチェは押し合っていたが、すぐにリーチェが押し負け吹き飛ばされる。
追撃を仕掛けようと魔法陣を展開するドラゴン。
「アイツ、魔獣なのに魔法も使えるのか!」
「マズイ!『竜殺矢』!」
ドラゴンの放った竜巻に俺の放った光の矢が突き刺ささる。竜巻を巻き込みドラゴンへと向かう光の矢は二度目の竜巻によって逸らされた。
「やっぱり強いな、ゴールドドラゴン。ゲーム内でも強かったが、こっちでも変わらないか。」
「……ゴールドドラゴンと言えば、存在するかも怪しい伝説だからな。」
「…………放っておいたら周囲に被害が出るかも。倒すしかない。」
「そうだな。まぁ、でっかい魔石だと思えばやる気も出てくんだろ!」
「いや、あれ伝説──」
「よし! 行くぜ!」
「また無視された……(涙)」
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「『 魂吸収』」
「『一撃決殺』」
ガオンとシアのスキルは尻尾の一振りで阻まれる。
「『黒雷』」
「『岩石弾』」
さらにクロとリーチェの追撃が入り、防御しきれなかったドラゴンは僅かに体勢を崩す。
そこに俺の追撃……
「『破天轟雷』!」
天を割るかの如く降り注ぐ幾筋もの稲妻が、ドラゴンへと突き刺さる。
「グァァァォオオオ!」
ドラゴンは多少のダメージを受け叫び声を上げるも、まだ倒れそうにない。
「これでもたおせないのだ……。」
ちなみにさっきの攻撃は十回以上は繰り返してる。
ゴールドドラゴンの特徴である体力の高さと防御力によって、致命的な攻撃が与えられないのだ。
「ゴールドドラゴンは回復魔法も使えるからな……。さっさと決めないと、同じことの繰り返しになる。」
「王よ、そうは言ってもその決め手はあるのか?」
「あるには、あるが溜めがいるからな……。」
「なら、俺が時間を稼ぎます!」
クロの表情は死を覚悟した者のそれだった。その目には燃えるような忠誠心が宿っている……。
「あ、じゃ、よろしく!」
「え゛」
「いやー、助かったわ! それが一番手っ取り早かったんだよ。さすがに俺から言うのもアレだし、ありがとなー!」
「え、いや、その……、迷いとか、無いんですね。」
「当たり前だろ☆」
クロはさっきの覚悟はどこえやら、今にも泣きそうな顔をしている。
「いや、冗談だって。何というか、ゴールドドラゴンって攻撃力は低めだから、お前なら怪我はするだろうけど死にはしないんだよ。」
「…………俺の覚悟を返してください……。」
「ドンマイなのだ。」
「ま、とにかく行くぞー!」