コメディ・ライト小説(新)

第二十九話 悪くは、ないだろ? ( No.30 )
日時: 2020/09/09 14:51
名前: あお (ID: ikU4u6US)

 「よし、これで仕込みは終わりだな!」

 魔王城の厨房で俺は額の汗を拭う。周りには大量の料理や飲み物がギッシリとならんでおり、この状況で俺が魔王だと言われても誰も信じないだろう。

 「魔王様ー、そろそろ『てつどう』造りが始まりますよー!」

 「おう! 今行くー。」

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 「今日はこの辺りにレールを敷く。ここを敷き終わったら鉄道造りは『完成』だ!」

 「「「「「「おおぉぉぉぉ‼」」」」」」

 「しゃぁ! じゃぁまずはそこから行くぜ!」

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 「そこに置いて、そうそう。で、最後にこのでっかい機械を接続させれば、うん。それで良い。」

 「これで良いんですかー?」

 「オッケー!それじゃ──」

 魔族達の視線が俺に集まる。

 「鉄道、完成だー!」

 「「「「「「うゎぁぁぁぁぁぁぁ‼」」」」」」

 大地を揺らすような歓声が響く。さらに、その歓声に応えるように、車両がこちらに走ってくる。

 「すげー! あれが鉄道かー!」

 「速いなー。」

 「デッケー!」

 魔族達は初めて見る車両に興味津々だ。

 「魔族って、好奇心がすごいんだよなー。」

 「えぇ、そうですね。俺も初めて知りましたよ。普段は戦いばっかりでしたからねー。」

 「……だろうな。」

 「……俺はあなたが魔王で良かった、と思ってますよ。」

 「は?どうしたよ、急に。」

 「いえ……、最初は『戦いが全て』って思っていたんだすがね、気づくと……笑っているんですよ。この戦いも無い平和な日常で。」

 俺はニヤッと笑ってクロに聞く。

 「悪くは、ないだろ?」

 「えぇ、悪くはないです。」

 クロもまた笑って答えた。

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 「ここで、何をするって言うんです?」

 理由を聞かされずに、魔王城の前に集めさせられた魔族達は困惑顔だった。

 「そりゃぁ、もちろん、一仕事終わった後は『宴会』だろ!」

 「「「「「「は⁉」」」」」」