コメディ・ライト小説(新)

第三十三話 ドキドキトラベル ( No.34 )
日時: 2020/09/13 01:12
名前: あお (ID: ikU4u6US)

 俺と騎士達がぎこちない挨拶を終えると、馬車の扉が開き少女が出てきた。 

 「シフォン・アル・リアーネと申します。先ほどの助太刀、感謝します。」

 緑の髪と赤の瞳を持った美少女はそう言って俺に頭を下げた。

 うーん、あの服装からして貴族っぽいよなー。馬車に付いていた紋章も家紋だとしたら納得がいく。

 ……よし、関わらんとこ。こういう貴族と関わるとトラブルに巻き込まれると相場が決まってるんだよ。(偏見)

 「あー、俺はケイ。……都会に憧れて家を飛び出した田舎者でね。非常識だけどよろしく頼む……頼みます?」

 出自とかは適当な設定で誤魔化すことにした。人族での常識とかは知らない可能性もあるが、この設定でどうにか乗り切れるだろ。
 
 「敬語は不要ですよ。よろしくお願いします、ケイ様。」

 「あぁ、よろしく。」

 「それで……、助けていただいたお礼がしたいのですが……。」

 「あー、それなら街に行きたいから、近くにある街の方角だけでも教えてくれないか?」

 「街ですか……。それなら私達の目的地も街ですし、ご一緒にどうですか?」

 「……じゃあ、お言葉に甘えて。」


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 「ケイ様は今まで何をしていらっしゃたのですか?」

 ……「魔王やってました!」とは言えないなぁ……。

 「魔獣狩りのようなものを……。」

 「なるほど、だからあんなに強いんですね!」

 「まぁ、そんな感じだけど……。」

 やべぇ、何か話すたびにボロが出そうで怖い。よくよく考えてみたら俺、魔王なんだよな! バレたら殺されるんだよな! (今更)

 お願い、お願いだから、早く街に着いてくれ!

 「しかし、珍しい服装をしていますねー。」

 ヒィィー! ヤバい、早くもボロが出そうに!

 「あ、あー、俺の故郷って辺境にある田舎だからなー。」

 「あの、なんでそんなに目を泳がせているのです?」

 「い、家出してきたから、故郷のこと聞かれると気まずくてねー。」

 「あぁ、それは失礼しました。私としたことが無神経なことを……。」

 「う、うん……。」

 
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 「着きました。ここが私達の目的地。商業都市『キアリ』です。」

 「へー、でっかいなー。」

 目の前には大きな壁に囲まれた都市があった。壁が高いので中までは見れないが、門の前には多くの人々が並んでいる。

 「ここは商業都市ですから、多くの人々が立ち寄るのですよ。」

 俺の視線が門を向いてるのを見てシフォンが疑問に答えた。

 「まぁ、とりあえず並びましょうか。」


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 順番が回ってくるとシフォンの顔パスで通れた。あれ、この人ひょっとして結構偉いのか?

 「じゃ、ここでお別れで。」

 「はい。では、また──」

 「あ! あなた、何でここにいるの⁉」

 振り向くと見覚えのある少女が立っていた。今一番会いたく無いヤツ。

 「何でお前がここにいるんだよ、王女様レノ……。」