コメディ・ライト小説(新)

第三十四話 王女再び ( No.35 )
日時: 2020/09/13 21:11
名前: あお (ID: ikU4u6US)

 レノはシフォンに聞こえないように小声で俺を問い詰めた。

 「何であなたがここにいるんですか⁉ あなた、魔王でしょ! 人族の宿敵なんですよ!」

 「え、あー、いや、なんかいけるかなー、って。」

 「そんなアホな理由で来るバカがどこにいるんですか!」

 「……てへぺろっ☆」

 「バーカーッ!」

 「痛っ!」

 レノにぶん殴られた。さすがに言い訳が下手すぎたか……。
 
 「ケイ様ってレノと知り合いだったんですか?」

 俺とレノの会話を聞いたシフォンが驚いた表情を見せ、問いかけた。

 「あー、まぁ、そんな感じかしら。」

 「いいえ、こんな人見たこともありません!(キリッ)」

 「しょーもないウソをつかないの……。」

 そのやり取りを見てシフォンがクスリと笑う。

 「そんなに楽しそうにしているレノを見るのは久しぶりです。」

 「へー、……そういえば、あんたとレノは知り合いなのか?」

 「はい、私は公爵家の人間ですので、王女様と接する機会も多かったのです。」

 「なるほど……、って公爵家⁉」

 あれ?爵位とかよく知らないけど、公爵って結構偉いよね⁉ 俺ため口で話してるんだけど……。

 「えぇ、偉いわよ。あなたぐらいなら一声で処刑できるぐらいには。」

 俺の表情を見てレノが疑問に答えた。その言葉を聞き、頬に一筋の冷や汗が伝う。

 「じゃ、俺はこれで失礼します!」

 「あっ……。」

 「ちょっ、あなたにはまだ聞きたいことが──」

 俺はレノ達に背を向け、スキルの『身体強化』を使いその場を猛スピードで離れた。


 ----------

 そこは石壁に囲まれた、小さな小部屋だった。床には魔法陣が描かれ、その魔法陣の周りには白いローブを着た人影がいくつも佇んでいる。

 「教皇様、『アレ』の準備が整いました。」

 「素晴らしい……。遂に人族せいぎ魔族あくを駆逐するときがきたのです……。正義は我々にあり!」

 「「「「「「正義は我々にあり!」」」」」」

 「さぁ、『勇者召喚』の儀を始めるのです!」