コメディ・ライト小説(新)

第四十話 ベルの年齢って…… ( No.41 )
日時: 2020/09/22 16:55
名前: あお (ID: ikU4u6US)

 「また来たの……」

 ベンチに座っていたベルは溜息をつく。その原因は言わずと知れたケイであった。

 「そんなに呆れ顔しないでよ……」

 「するわよ。あなた、ここに何回来る気なの? 別に楽しいことなんてありはしないのに」

 「君に逢えれば充分だよ」

 「……どこで聞いたの、そんなセリフ?」

 「莉奈が持ってた少女マンガ」

 「…………」

 ベルはこの数日間で、ケイが感化されやすい体質だということを学んでいた。

 そして意味もわからず、聞きかじってきたセリフを使うケイを少し心配もしていたのだ。

 「ケイ、そういう言葉は、本当に好きな人のためにとっておきなさい」

 「……ぼくはベルのこと好きだよ?」

 「そういう『好き』ではなくて、もっと、こう、女性に対する好意とか……」

 「ベルって女の子じゃないの?」

 「…………そう見えるなら心外ね」

 どうやらケイへの教育は、難航を極めるようである。


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 「何かさー、ベルってすごく大人っぽいよね」

 「どうしたの、藪から棒に」

 「だってベルってぼくと同い年に見えるのに、すごくむずかしいこと言うんだもん」

 不思議そうに言うケイを見てベルは少し戸惑った後、からかうように笑う。

 「まぁ、こう見えてあなたの何十倍も生きているもの」

 「何十倍⁉」

 「えぇ、そうよ」

 「ベルっておばあちゃんだったんだねー」

 ケイの無邪気な一言にベルの表情がピシリと凍る。

 「あ……。ごめんね?」

 「だ、大丈夫。悪気が無いのはわかっているから」

 ベルは引きつった笑みを浮かべる。

 「おばさんとかのほうが良かったよね!」

 ……がケイの『悪気はない』一言でその笑みすらも掻き消えた。

 

 ────その後ケイがどうなったかはあなたのご想像にお任せしよう。