コメディ・ライト小説(新)

第四十一話 もう一人の少女 ( No.42 )
日時: 2020/09/25 23:10
名前: あお (ID: ikU4u6US)

 「ねぇ、ケイ。遊ぼうよ!」

 ケイを誘うのは可愛らしい少女。

 ボブカットの茶髪をふわりと揺らし、クリクリとした目でケイを見つめている。

 小首を傾げているその可愛らしい姿は、男を虜にする美少女としての才能の片鱗を見せている。

 ……まあ、ベルというスーパー美少女に慣れ始めてるケイとしては、特に意識するようなことでも無いのだが……。

 「遊ぶのはいいけど……。そうだ! せっかくだし、莉奈もベルに会ってみない?」

 「ベル? 知り合い?」

 「そう! ぼくを助けてくれた正義の味方だよ!」

 「……女の子?」

 「そうだよ。すっごく綺麗な……ってどうしたの?」

 ケイの言葉に莉奈は不満そうな顔をする。

 「別にっ! ……いいもん。私もそのベルって子に会ってみるから」

 「うん、それがいいと思うよ。ベルって友達いなさそうだし」

 「……ケイって無邪気にえげつないこと言うよね……」

 「え?」


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 「ケイ、その子は?」

 いつものごとく現れたケイに、ベルは困惑した顔を見せた。

 「ぼくの友達の莉奈だよ!」

 「よろしくね、ベルちゃん」

 「よろしく……」

 ベルは差し出された手を取り、困惑気味に握手をした。

 「それじゃ、遊ぼうよ! まずは……」



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 「そういえば、今日出てた宿題ちゃんとやったの?」

 聞かれたケイは怒った風に頬をふくらませた。

 「むー、バカにしないでよ。ちゃんとやったに……き、ま……」

 ケイの顔がだんだんと青くなり、目が泳ぎだす。

 「やってなのね……」
 
 ベルの溜息に絶望したような表情を浮かべるケイ。

 「ちょ、ちょっと今からやってくる……」

 「そうしさなさい。私のことは気にしなくていいから」

 「あ、私もベルちゃんと話したいことがあるし、残ってるからー」

 「うん、わかった。それじゃあ、また明日ー!」

 「別に無理して来なくても良いのよ?」

 「わかってるよ、ぼくが来たくて来てるんだから!」

 ケイが走り去り、その場にはベルと莉奈の二人が残る。

 「それで、話したいことっていうのは?」

 「うん、それはね……」