コメディ・ライト小説(新)
- 第四話 目標は世界平和 ( No.5 )
- 日時: 2020/08/24 18:26
- 名前: あお (ID: ikU4u6US)
開始の合図があると、リング内の魔族が俺に向かって攻撃しだす。
……が、その攻撃は遅い、遅すぎる。魔法系のスキルはまだマシなほうだが、物理攻撃に関しては論外だ。ここでサラッと避けるのは手だが……、
「せっかくだし、徹底的にアイツらの心を折っとくか☆」
うん、そうだ。これはれっきとした正当防衛。決して、邪神とやらに勝手に連れてこられた腹いせとかでは無いのだ!
「『ルリス・シャイン』」
スキルが発動した瞬間、巨大な魔方陣が展開され──
俺の視界が、白く、染まった。
全方位に放たれた白い光はリングを氷漬けにするだけでは収まらず、周囲の溶岩にすら届き、溶岩は蒸気を上げながら白く凍り付く。そしてその蒸気すらも小さな氷の粒となり、光を受けてキラキラと輝いている。
そして…………、リング内に立っているのは数多の氷像と、俺一人のみだった……。
野次を飛ばしていた観客は、すっかり黙り込んでしまった。ふぅ、……どうすっかなこれ。いやー、沸点が低いのは俺の欠点なんだよねー。サタナスやってたときも、暴言が過ぎる悪質プレイヤーをボコボコにしたりして……。反省はしてるし、前よりはマシになってると思うんだけど。まぁ、コイツらにはこれが一番有効そうだし、このスタンスでいこう。
「じゃ、これで俺の優勝だろー?」
「え、えぇ、まぁ……。」
「よぉし。じゃあ、魔王 の方針は──」
俺は言葉を失ってる観客達を見回して言葉を繋ぐ。
「世界平和だ‼」
「「「「「…………はぁぁぁぁぁ⁉」」」」」」
「殺し合いは厳禁。争い自体、できるだけしないで話し合いで解決が理想だな! あぁ、それと、人間との戦争もなし! それで──」
「ふざけるな!」
「何を腑抜けたことを!」
「これだから人間は!」
観客の不満が一気に爆発する。つーか面白いなこいつら、コロコロ顔変わって。リアクション芸人目指せそう。
まぁ、それはそれとして俺はちゃんと言ってあるのだ。
「言ったろ?『文句あるやつはかかってこい』って。不満があんならかかって来いよ。まとめて相手してやっから。」
「「「「「…………。」」」」」
ほー、いくら魔族とはいえ、命は惜しいらしい。まぁ初っ端からあのスキルをみせられたら、さすがにいくらバカでも──
「それなら、俺達の相手をしてもらおうか。」
あぁー、いたわバカ 。