コメディ・ライト小説(新)
- Re: 治療薬は天使 ( No.3 )
- 日時: 2020/10/11 00:46
- 名前: ほずみ (ID: XLYzVf2W)
2.十九日の朝
「んっ…おはよぉ〜」
花蕾兎が二段ベッドの上から眠そうな目でこちらを見ている。
「えっ、あ、おはよ。」
そっけない返事になった。花蕾兎は話を続ける。
「駒木くん起きるのやっぱ早いねぇ…」
「…そう?花蕾兎が遅いんじゃない…?」
花蕾兎はそうかなぁと言いながらえへへとでも言っているかのようなほんわかした笑顔で笑う。
これがいわゆる癒やし系男子…か。
「おにぎり美味しー?鮭?」
「え、うん。」
「そっかぁー。」
何が聞きたかったのだろう。でも全く気分を害しない。
「僕もおーきよっ。」
そう言って花蕾兎がはしごをつたって降りてきて、部屋の照明をつける。
俺は早く起きるけど照明はつけない。寝てるから迷惑だと思うし。
その照明の明かりで起きてくる寝坊組…寝坊ではないんだが。
「若葉くん、おはよぉ〜。」
若葉継。寝坊組の一人だ。
「あぁー、ねっむ。」
若葉はそう言って伸びをする。
次第に残りの四人も起きる。
『寝坊組』というのは俺が起きるのが早すぎるために、普通にちゃんと起きてくる奴らを遅く感じるから名付けた。
もう俺は朝食もとり、支度も終わった。
さて、残りの六人の準備を待たなければならない。
全員が支度し終わるまで部屋から出てはいけない。
それもここのルール。だから一人寝坊して遅刻しても連帯責任なのだ。
俺は部屋に出られるまでは課題をすることにした。
数学の課題。一週間で十ページすすめて提出だ。
数学だけは本当に苦手だから、みんなよりも頑張らなければならない。
そして、半ページも進められずに全員の支度が終わる。
鍵の管理は一日ごとに当番制で回ってくる。
今日は若葉だ。
部屋から出ると丁度真横の部屋からも生徒がでてきた。
「よっ、おっはよー。」
隣の部屋の人が馴れ馴れしく挨拶をしてくる。
この人は誰なんだろう。
なにしろ学年の人数がとても多い。知らない人がいても正直しょうがないのだ。
学舎につく。
花に水をやっている人、課題をやっている人。
俺も課題をすすめる。一学期の学期始めテストが間近だから。
九時までは講義室の自由席で好きなところで勉強できる。
ほとんどの生徒が講義室に毎日来る。
俺も常連だ。今日は珍しく一人で勉強していた。
席は二十列あり、一列二十五席。
俺は一番前の列で黙々と問題を解いていた。
講義室での朝学習では別に静かにしなくてもいい。
だから関係ない話をしながら勉強できる。
過半数の生徒がそうしている。
いつもは俺もそうだが、今日は一人だ、ゆっくりできるのもそう悪くない。
そして、やっと半ページ終わったときだった。
「あのぉー…お隣りいいですか?」