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コメディ・ライト小説(新)
- Re: ✭星屑の華永✭ ( No.4 )
- 日時: 2020/10/31 19:10
- 名前: 夜明 (ID: hZy3zJjJ)
#3 「古の歴史書」
「そう言えば穂紫のクラスも今日社会の授業あったでしょ。」
ホルンを抱えながら楽譜を開いている深月は目線を私に合わせた。
「うん、そうだけど。あの…魔法使えるだとかうんたらかんたらのあれでしょ?」
私は楽器を吹く手を止めて、彼女の言葉に返事をした。
…ああ。やはりここでも話題に出た。
私が聞き慣れているのもまぁ仕方が無い。1年生のクラスでは、今日の授業の事で話題は持ち切りなのである。そりゃあ…今まで自分が知らなかった事、恐れ多き存在の事、謎深き者。これらを好奇心が起こると共に話したくなるのは人間として当たり前と言わざるを得ない事であろう。
…だが、恐れ多き存在の事を話題の1つとして挙げるのはどうかと思うが…。
私が考えを挙げていた時のおよそ数秒後だろうか。深月は慎重に、壊れぬようにホルンを床にぴたっと置いた。そして彼女は、隠れんぼで隠れている時のように声を潜めて私に話しかけた。
「そう言えば何だけど…。」
周りに聞こえてはいけない話でもするのだろうか、誰かに察されたくないのか。…さらに彼女は、私に近付いた。
「実は…うちに魔族について書かれた本があるんだよね。穂紫、何か興味ありそうだし今日うち来なよ。」
「…ま、魔族の本?」
一時、私の手は止まった。
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