コメディ・ライト小説(新)
- Re: 星と少女と御呪い ( No.4 )
- 日時: 2021/05/29 16:42
- 名前: 紅蓮 (ID: fqLv/Uya)
#3 継承者
「ほら、これよ。」
その本が机に置かれた瞬間、埃が飛び散った。
「うげぇ…こりゃあ埃っぽい本ってわけか。」
表紙は少し破れていて、埃っぽい匂いがする。
それに、どのページも色あせていて、文字がやや滲んでいる。
「…これは?」
「だいたい150年くらい前の戦争を記した書よ。色々載ってるわ。」
「ほへぇ〜、そんな昔の本がよくあったよね。」
「あら、こう見えてメティリエ家はかなり昔から栄えているのよ。うちの一族は本の収集が好きだから、大体の本は揃っているの。」
周りの景色を一望する。
はしごに登らないと届かない距離まである本棚が、辺りを囲んでおり、小説…図鑑…論説文…歴史書…様々なジャンルの本が目に入った。…もしかしてここ、図書館よりも品揃えがいいのではないだろうか。
「で、案って何さ?」
「…ああ、話がずれちゃったわね。そう、案っていうのはこのページのことなの。」
『継承者』。
そう大きく書かれていた。
「継承者って____。1人しか存在出来ないあれですよね。それの力で何とか出来るんですか?」
「そういうこと。これまでの戦争は、継承者がほぼ全て治めてきたのよ。だから今回も、ね。」
そう言えば聞いたことがある。
『継承者は特定の魔術を操り、膨大な力を持つ。歴代の継承者は炎…光…華…毒…氷…草…闇…
である。アルトアイゼン洞窟群の奥に佇む紅魔石が示した者は継承するべき者になる。』継承者が亡くなると、紅魔石が反応を示し次の継承者が選ばれる…。
が、今はちょっとした問題がある。
何年か前の洞窟群一帯で起きた大きな地震で紅魔石に小さなひびが入ってしまい、紅魔石を手動で人々に近付けて継承者を探すしかないのだ。今は継承者が亡くなっているというのに…。
「ま、大丈夫大丈夫!SMEの子達総動員すれば何とかなるって!」
「ええ…。そんな上手くいきますかねぇ。」
ルレーヌを守る為ではあるが、大変な任務になりそうだ。