コメディ・ライト小説(新)
- Re: 星と少女と御呪い ( No.5 )
- 日時: 2021/05/23 17:33
- 名前: 紅蓮 (ID: fqLv/Uya)
#4 きっかけ
「さあ、私達だけのショーを始めましょう!」
魔術師。今、この世界の大英雄とされる存在であり、民間人に平和の星を振り撒く存在である。ホウキにまたがって…軽々と呪文を唱えて…その美しさは、私の憧れの的だった。
実はそれ、私だけではない。ここ、ルレーヌ大陸には魔術師に憧れる子供達は何人もいる。その人気さを例えるなら……どっかの会社が行う『なりたい職業ランキング』でも、500年連続1位ということが一番説得力があるだろう。
そんな私が魔術師という言葉を知ったのは、4歳の頃。ルレーヌの南西部に属し、大規模なショッピングモールが立ち並ぶヴェート街と言う場所で初めて魔術師を見た。その頃は丁度クリスマスシーズンであったので、ヴェートではたくさんのイベントが開かれていた。例えば、高級スイーツ店の出張販売や、ルレーヌ出身の歌手を集めたライブの開催だったり、とにかく人が集まるイベントが開催されていた。そんな中でも、一際人気が高いのが魔術ショーである。
その魔術ショーを私は見たのだ。
その時の魔術師はビアンカ・テーナー。銀の髪を赤い糸で結っており、自由奔放に空を飛んでいた。それに彼女、只者ではない。なんとあの継承者だ、継承者。彼女は闇術を操る継承者で、幼い頃からずば抜けた才能を持っていたらしい。
そんな彼女を見て以来、私は必死に魔術の練習をした。今となっては上位の魔術学校に入る程の実力を手に入れる事は出来たが、夢に見たビアンカのように上手くなることはなかった。
……だからこそ。ここで魔術をもっと学ぶんだ。
ビアンカの母校、セント・ルレーヌで。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あれ、あと何分で電車来るっけ。」
「どうせもうすぐ来るだろ。…お前よりは早くな。」
「うぅ…。さっきの事引きずってさぁ…!」
一瞬アマナを殴ってやりたかったが、入学前に事件を起こすわけにはいかないので、疼く拳を鎮める。すると、駅員のアナウンスが聞こえた。
『まもなく、4番線にセント・ルレーヌ魔術学校行きの電車が到着します。黄色い線の内側で______』
甲高い音が聞こえると同時に電車が止まると、風と共に電車のドアが開いた。