コメディ・ライト小説(新)
- 1−前章 2話 『賑やかな朝』 ( No.3 )
- 日時: 2020/12/04 02:21
- 名前: ノモケマナ (ID: hDVRZYXV)
丸太小屋では異質な三人組が話していた。
「ふあぁ……こんな朝早くから出発の準備かよぉ」
そう言ったのはまぶたを重そうに開いたフェニックスである。
若干不機嫌そうで、いつもは活き活きとしている背中の羽もだらんと垂れている。ペガはそんな力ない仲間の姿を見て自然と口からため息が漏れる。
「もう、フェニー。いい加減寝ぼけてないで支度してよね」
初っ端からこんな調子でこれからの長旅も不安になってしまっているようだ。フェニーは頬を膨らせて、あからさまに不機嫌を主張する。
「まあまあ、良いではないか。焦ってもしかたないだろう……ズズッ」
「ロスはロスでお茶を飲んでないでよ……」
ゆっくり、ゆっくりと茶を飲んでいるのはケンタウロスのケトロス。
普通ケンタウロスといったら上半身が人間、下半身が馬だと思うだろうが、彼は違う。
頭に馬の耳を生やし、尻にはしっぽがついているだけであとは人間と同じなのである。
彼は茶を嗜み終え今度はペガに勧める。
「ペガも飲むか? 眠気覚ましになるぞ」
そんなことを目を閉じて言っている。
「だったらフェニーに飲ませてよ。っていうか準備してよ」
「準備は既に済ました。ではフェニー、茶を飲み目を覚ますと良い」
彼は湯のみを用意するとさっそく──
「ティーメイク……」
すると湯のみの上からどこからともなく出現した茶がコポコポと音を立てて注ぎ込まれる。そして最後に葉が一枚落ち、そのまま浸透して消えていくのだった。
「さあ飲みたまえ」
「おぅ、ありがとな」
フェニーは茶を飲むと、すぐに眠気が去っていくのを感じた。
「おぉぉ、目が覚めた。すっげえシャッキリだ。さすがロスの淹れた茶だな」
「目覚ましの葉を入れておいた。喜んでくれたなら嬉しい……ズズッ」
「ありがとうねロス。ってまたお茶飲んでるのか」
ペガはやれやれといったようだ。
「それじゃあ準備するか!」
フェニーは大きく羽を広げ、やる気を燃え上がらせた。
目に正気を宿し、深紅を身にまとった姿には覇気がよく感じられる。
「僕も手伝うよ。ピーコはもうベアクおじさんのところで待ってるから急ぐよ」
「私も手伝おう……ズズッ」
今日も丸太小屋は朝から賑やかだ。