コメディ・ライト小説(新)

Re: 転生令嬢は平穏に過ごしたい ( No.6 )
日時: 2021/05/01 13:12
名前: 鹿蜜柑 (ID: 37dL3AlA)

まさか、そんな魔石とやらがある世界とは思っていなかった。
いや、転生する時点でおかしいと思うけど、そこは置いておこう。
まあ気を取り直して、この世界について調べなければならない。

調べる訳だが、そもそも私は一般常識すら知らない三歳児だ。
本で調べようかと思ったがそんな世界の一般常識が全て載ってある本なんて無いだろう。
つまり、ラノベで良くある図書館や書庫に行って調べようとするより
人に聞いた方が何倍も楽だ。
まあ、専門的に知識をつけたい場合は本で調べる方がいいのだが、
今回は、人に聞く事にする。

早速、ベルに聞こうと思ったが困った事に姿が見当たらない。
多分、何かの仕事を言いつけられたのだろう。
私付きの侍女とはいえ、ずっと私のそばに居る事はない。

それはともかく、ベルが居なかったら誰に聞こうかという話ではあるが
今、時間に余裕がある筈の母親に聞く事にする。
丁度、仕事が落ち着き、昼休憩の時間だ。
休憩を潰してしまう事は申し訳ないが、私も好奇心には勝てないのだ。

早速、部屋に向かう。
と、歩いている途中に喋りかけられた

「あら?お嬢様。どうなさったのです?」
「ああ、エリス。ちょっと聞きたい事があって母様の所に行こうと…」

喋りかけてきたのはエリスだった。
エリスは母様、母親付きの侍女だ。
丁度出くわしたらしい。

「そうなんですね。お嬢様はお一人の様ですし、
 私も奥様のお部屋に戻る所ですから、一緒に行きましょうか。」
「うん。ありがとう。」

一緒に行ってくれるらしい。
多分、一人でいるのを見かねてだろう。
これでも一応3歳児だ。
少々、変わった所がある事で有名な私なのだが…

「それにしても、珍しいですね。
 いつもは歩くのすら面倒臭いと仰っているのに」
「ハハ、たまには私も自分から動く事はあるよ」
「まあ、そうですかね?」

いつもは、人に何か言われなければ自分からは中々動かないから
自分から動くとこの様だ。
言い訳させて貰うと、幼児はやけに眠くなるから体を動かす気になれないし
ちょっとの距離を歩いただけで中々の体力を奪われる。
そして私は生粋のインドア派なのだ。
しんどい思いをしてまで体を動かそうとは思わない。
しかし、なんと酷いあり様。もうちょっと自分から動こうかな。

そんな事を考えている内に部屋に着いた様だ。
コンコンっと小気味の良い音が鳴った。

「奥様、お嬢様がお越しです。」
「そう!入って頂戴。」

扉が開かれ、私は部屋の中へと足を踏み入れた。