コメディ・ライト小説(新)

Re: 転生令嬢は平穏に過ごしたい ( No.7 )
日時: 2021/06/05 19:06
名前: 鹿蜜柑 (ID: g1CGXsHm)

部屋の中に入ると案の定、休憩中の母様がいた。
少し驚いた様な表情をしている。
やっぱり邪魔をしたのかな、なんて考えていると母様が口を開いた。

「リリアが私の部屋に来たのは初めてね。ちょっとびっくりしちゃったけど嬉しいわ。
どうしたの?遊ぶ?今は休憩中だから時間が来る限り一緒に遊べるわよ?」

ちょっと罪悪感があったから母様が歓迎してくれて良かった。
なんてちょっと安堵しながら、本来の目的を伝える。

「母様、今日は色々と質問したくて…」
「そうだったの、良いわよどんどん質問して。出来る限りちゃんと母様答えるからね」
「ありがとう母様」

母様は可愛い。
顔も確かに整っていて、とても可愛い事はさる事ながら性格も可愛いのだ。
ちゃんとしなきゃいけない所はちゃんとしているけど、どこか抜けているところがあってこれが庇護欲を誘うというものではないかと思う。
母様をお嫁さんに出来た父様は、どんな徳を積んでいたのだろうか。

「じゃあ、何が聞きたい?」
「まずは、自分の事とか家族の事から聞きたいなと」

そう、まずはここからなのだ。
情報収集を怠っていたら、自分や家族の事さえ碌に分からなくなってしまった。
まあ、そこまで聞く事は無いとは思うけど。

「そうねぇ、どこから話そうかしら。
取り敢えずリリアちゃんの正式な名前からにしましょうか。」
「名前…。」

そういえば、名字とかも知らなかった。
ちょっと耳に入った事はあったかもしれないけど、
興味が無かったから記憶から抹殺されている。

「そう。リリアちゃんの正式な名前は、
リリア・サルビア・ファン・グローリアよ」
「え?」
「リリア・サルビア・ファン・グローリアよ」

やけに長いと思うのは私が前世で日本人だったせいなんだろうか?
ヨーロッパの方ではミドルネームなどもあり、名前が長くなっている人も
いたとは思うけど。
この国もそんな感じなのか?なんて思いながら母様に質問する。

「な、長いんじゃ?」
「まあ、ちょっと長いわね。」
「他の人はここまで長くは無い?」
「まぁ、一般的にはそうねぇ。この家はちょっと特殊だから」

家に特殊も何もあるものなんだろうか

「特殊ってどういう事?」
「父様はね、先王様とその正妃様との唯一の息子なの。
でもまあ、色々あって側妃様の息子さんが王様になったの。
そして、父様はちょっと面倒くさい立場になって
臣籍降下するのもちょっと厄介だし、それなら王族のままにしようって
事で新しい家名と、今までの王族の家名を与えられる事になったの。
だから名前がちょっと長くなっちゃたの
ちょっと難しく説明しすぎちゃったかしらね。」
「い、いや、大丈夫だけどちょっと待って母様」

いや、大いに待って、情報量が多すぎて頭がパンクしそう。
ツッコミ所が多すぎる。
まず、父様が先王様の息子って何?
しかも、色々あって側妃様の息子さんが王様になったっていうところに
闇を感じるし、父様、厄介払いされてるじゃん。
え、つまり、王族って事?ちょっと裕福な商家の娘くらいに思ってたんだけど、
え?本当に何?
めちゃくちゃ複雑な立ち位置じゃないか。

「大丈夫?リリアちゃん」
「あぁ、はい。多分大丈夫。」
「そう、でも、無理はしちゃダメよ?」
「はい」

なんか、心配されるっていいな。
なんて、こんな時に思う私はちょっと変だろうか。
とにかく、今日の所はここでおしまいにしておく。
結局情報量は多かったけど、自分の事と家族の事のちょっとしか聞けなかった。
けど時間は有限なのだ。母様もこれ以上私が居座ったら面倒だろう。

「じゃあ、もう部屋に戻ることにします。」
「そう、この時間帯ならいつでも大丈夫だからまた来てね。」
「はい。ありがとうございました。」

今日、母様の部屋に来てよかったな、なんて思いながら
私は部屋へと戻った。
たまには、自分から動く事も大切かもしれない。