コメディ・ライト小説(新)
- 一章2話 ( No.4 )
- 日時: 2020/11/23 07:40
- 名前: 水上晶 (ID: vzo8adFf)
一章2話
ミアール・シノは、旅をした街に1週間泊まる、というルールを自分で決めていた。
そのルールのほかにその街の特徴だとか、どんな景色があったとか、誰と出会った、だとか。
そんなことをかなり前から書いてきたノートに書く。
日によって書く量は変わり、2ページ以上書くときもあれば、たった数行の時だってある。
…さて、そろそろ本編に戻ろうかな。
アンティーク古いドアを開けると、ギィィ……という耳の痛くなる様な音がした。
ドアを開けると、あまり長くない廊下にでる。
廊下には小さな棚と、可愛らしい花が四つ飾られている。
歩くとギシギシと木の板が悲鳴をあげる。
階段を降りると、宿主のおじいさんがマグカップを手に新聞を読んでいた。
シノに気づくと、マグカップと新聞をデスクに置いた。
「おや、もう『フルーヴの鹿亭』を後にするのかい?」
「はい、1週間が経ったので。そろそろ後にしようかと」
「そうかい。じゃあ、手続きをするから少し待っててね」
そう言っておじいさんは奥の部屋へとむかっていった。
近くのソファにちょこんと腰掛ける。
デスクの上のマグカップからは、白い湯気がうっすらとのぼっていた。
どうやら、この宿はずっと前から存在しており、皆に愛されているようだ。
辺りを見渡していると、手続きを終えたおじいさんが奥の部屋から戻ってきた。
おじいさんは手に何かを持っているようだった。
「手続きが完了しましたよ」
シノはすっとソファから立ち上がる。
「はい」
「あ、それと、あなたにプレゼントがあるんだ」
「……プレゼント、ですか?」
「小さいものですが……あなたに幸運を」
差し出されたのは、四つ葉のクローバーが挟まれた小さなしおり。
シノは少しの時間、それをじっと見つめ、そしてポケットの中に入れた。
シノは軽く微笑んで「ありがとうございます、それでは」とドアノブを開ける。
おじいさんも「また、きてくださいね」と言う。
手を振って、ドアを閉める。
「よし、食べ物も十分あるし、新しい街へレッツゴー♪」と、弾む声でシノは歩き出す。
