コメディ・ライト小説(新)
- Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで ( No.3 )
- 日時: 2020/11/29 11:55
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
#2 「話の続き」
「…で、続きなんだけどあたしは霊媒師になりたい訳よ。」
彼女は胸を張る。
ピンと通った背筋からは、『この思いは本当だ』なんて事が垣間見える。
「何で今更霊媒師だなんて。いつもの紅虹らしくないよ。ほらっ、いつも『あたしはあたしの道を行くんだぁ!』なんて言ってたまに使用人に呆れられてるでしょ?それなのに、…何か変な食べ物でも食べた?」
こんな事を楽天家が言うなんて…逆に心配になる。なんだったて、昔から紅虹は流れに身を任せるタイプであったからだ。彼女の口癖は『何とかなるさ』で、テストで赤点を取ろうが、中学生最後の体育祭で負けようが、いつもいつもその一言を口にしていた。
「ちょっとちょっと、あたしはそんなにおかしい人間じゃないんだからさ!変なもの食べようが食べなかろうが、あたしはこの信念を曲げないもんね!」
「…と言うか、何がきっかけでそこまでになったの?」
僅かなきっかけで、そこまでなるのだろうか。
もしかしたら…もしかしたら、この意志は誰かに吹き込まれたのかもしれない。元々、紅新は流されやすい__言い方は悪いが、薄っぺらい性格でもある。
「えーっと、ほのかに後押しされたんだよ。」
「ほのか、に?」
『ほのか』と言うのは、従兄妹の『夏越 ほのか』の事である。同い年で、今は九州の方へ住んでいると言う事だ。
「ほら、あたしは櫻庭家の次女じゃん?紅優には迷惑をかける訳にはいかないし…あたしが霊媒師になればそれでいいじゃんさ!ほのかにも「あんたには霊媒師が天職」言われたし。だからあたしには才能があると思うし。そう、思わない?」
「さあ…。」
言葉が詰まる。切羽詰まる。
この言葉で、今の心情は表せない。まるで口に含んでいた炭酸飲料が、地の底から溢れ出てくるようだ。
「義母さんには、言ったの?」
「まだ。…まずは紅優に言いたかったんだよ。何年間も一緒にいた仲、全て分かち合うのが仲良し言うもん。それにほのかが応援してくれっなら、紅優も応援してくれるかな…って思って。」
「まぁ、私も応援するけど。…本当にそれでいいの?」
「…うん。いいんだよ、それで。」
彼女は無邪気な笑顔をを私に見せた。
紅新のその明るい笑みに、私は何か隠されているかもしれない。