コメディ・ライト小説(新)
- Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで ( No.4 )
- 日時: 2020/11/29 19:17
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
#3 「突然の電話」
3月31日。高校入学まで、残り1週間。
どうやら、中学生で居られるのは今日が最後みたいだ。
何だか心がざわつき、下のリビングへ降りてみるが…誰も居ない。姉さんは夢を追いかけて海外へ、紅虹は友達と出かけ、義父さんは亡くなっており、義母さんは霊媒師として世界中を飛び回っている…。本当にこの家は人が居ない。
そもそも、義母さんは非常に忙しく、私が8歳の頃から顔を合わせていない。彼女は腕利きの霊媒師と呼ばれ、世界中のあらゆる所から依頼が飛んでくると言う。そんな訳で彼女は家におらず、今まで私達の世話は全て使用人がしていた。
また、義姉さんの方は海外に留学しており、今は家にいない。確か…前に言っていたのだが、ファッションデザイナーを目指すために最高峰のデザイナー専門学校に在学しているらしい。
すっからかんとしたリビングで、私は溜息を付いた。
_____________♪プルル♪
電話。
突然何だろうか。
スマホを手に取ると、画面上には『ほのか』と書いてあった。
『もしもし?私だけど。』
相変わらずお気楽な声だ。
…そんな事はいいか。私はそれに応えるように、スマホにむけて口を開いた。
「ほのか?こんな急にどうしたの。」
『ん?いやぁ、この前さ、紅虹が急に『家継ごうかな』って電話で言ってきたんよ。いきなり過ぎてびっくりしたんけど…。あれって本当なん?』
「ああ…あれね。うん、本当になりたいって言ってた。珍しく。」
やはり、彼女も珍しい事だからか、驚いていたようだ。だって、あの紅虹があんな事言うなんて…あまり現実とは考え難い。
『ほぉ、そっか。…いきなりあんな事言うからさぁ。逆に心配なんだわ。』
_______…いきなり、か。
確かにいきなりあんな事言うなんて。
何だかよく分からないが、心の中にモヤモヤが残るばかりだった。