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コメディ・ライト小説(新)
- Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】 ( No.5 )
- 日時: 2020/11/29 19:48
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
#4 「深夜の灯に」
「眠れない…」
ただ単に、眠れなかった。
目が冴えて、白い天井を意味も無く見つめていただけ。虚しい光景が、静かに広がっていた。
溜息を付きながら、カレンダーの方へ視線を向けると…見事に明日の欄に赤丸が付けられている。
『入学式』
「…なんで明日なんだろ。」
明日高校に入学するとなると、一気に緊張の波が押し寄せてくる。そりゃあ…今まで中学生だったもの。今まで中学生だった者がいきなり一段落上に行く。簡単に言うと、『何処かの子供』から、『青春真っ只中の少年少女』に移り変わると言うものだ。
単に肩書きが変わるだけじゃないか、なんてきっと誰しも思うだろう。ただ、高校生と言うのはそれだけでは無い。
元々この近くには偏高校がいくつもある。同じ偏差値の高校が複数ある訳なので、より高みを目指す学生達でもはだいたいそこで別れてしまう。そんな訳で、同じ高校に進学する同級生はみるみる減り、残念ながら共に高校生活を送る友人は、陽和…9年来の親友の『辻野 陽和』しかいない。
だが霊媒師目線から見ると、新学期と言う物はよく霊が溜まりやすい季節。就職先や学校での不安や、1つ上の学年に上がった事による下級生からのプレッシャー、見知らぬ人が職場や学校に入ってくる緊張…。こうした精神の不調に霊は入り込みやすい。霊媒師としては少し依頼が増えるのである。
ドタン
私はベットに力を入れた。
…そんな中でも、ただ私は、春の陽気に満たされながら明日を待ちわびていた。
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